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喪失の神医  作者: Crowley
第十一章 新人の逃亡
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ネタバレしても楽しめるタイプと楽しめないタイプ

なんだか季節が一月ずれてる気がする。温暖化いと恐ろしや。

「大丈夫ですか?」

「え、ええ、大丈夫。お伽噺で語られる魔物が、一瞬で屠られているのが夢ならば。ええ、大丈夫ですとも。」

「大丈夫じゃなさそうですね。」


飛竜程度が伝説上の魔物なのは、きっと島の中に閉じ込められていたからだとは推測できるが、そこまで非現実的だろうか。


「そんなことより、この飛竜はどうします?肉はさほど美味しくないですけど。」

「た、食べられるんですか?」

「ええ、まあ。飛竜なら腐るほど鱗と皮はありますし、俺は放っておいても良いですが。」

「あれだけで二度の人生を豪遊できますよ?」

「じゃあ、肉以外は粉々にするか燃やしましょう。」


彼女には魔法での肉の切り分けを頼み、俺は皮を剥がして燃やし始める。


臭いは【結界術】で抑え込みつつ、切り分けた肉を背嚢に入れ終わった彼女と共に鱗を剥がしにかかる。


剥がした鱗は裏側からハンマーで叩き割り、粉末状にしてから炭化した皮と一緒に革袋に詰めて背嚢に入れた。


容量の限界が未だに見えそうにない背嚢に若干恐怖しつつ、彼女に作業の終了を伝える。


「このまま、砂丘を渡りますか?」

「いや、ちゃんと正規の方法にしましょう。通行止めは恐らく向こう側も同じ。それなら一番最初に入ってきた人は目立ちます。」

「そうですね。これも人とぶつかったら効果はないですし、国境ならきっと警備も万全でしょうし。」


砂袋を腰につけ直してしれっと門へ戻ると探索者が到着したようで、ちょうど見送りを始めたところだった。


防砂布で顔を覆い一様に外套を羽織り、それぞれ大剣や大盾や槍、弓矢や長杖を携えた集団が後ろに手を振っている。


「無駄骨になるのを知っていると、なんだか可哀想ですね。」

「死ななくて済んだ、と考えれば納得できるでしょう。空を飛ぶ相手に普通に剣で戦うのは愚の骨頂です。」


手を振り終えて正面を向いた彼らの目は真剣そのもの。しかしそれでも届かない。


「あの弓では翼膜に刺さりませんし、もし刺さったとしても貫くことまでは敵わない。あの大剣を放った矢と同じ速度で当てられるなら別ですが。」

「それは、不可能に近いですね。」


難しい顔をしている彼女に、背嚢から拳銃と銃弾を一つずつ取り出して見せる。


「この弾丸とて普通に撃てば飛竜からすればただの豆鉄砲だ。だが、魔術で強化したこの拳銃ならそれを覆す事が出来る。」

「はあ。……もしかして、自慢ですか?」

「いや、次の追っ手にとって魔術で強化されている俺が豆鉄砲なら、何をしても届かないって話です。」

「飛竜を倒せるような人を軽くあしらえる、そんな存在がいると思っているんですか?私は聞いたこと……ない訳じゃないですね。」

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