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喪失の神医  作者: Crowley
第十一章 新人の逃亡
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第六感を侮ることなかれ

お久しぶりです、著者です。

最近は暑いですねぇ。梅雨が一ヶ月早く来たような感じで、とても蒸し暑いです。偏頭痛持ちの方はお気を付けて。ではでは。

「誘ったのは私供ですが、工房の方は大丈夫なのですか?」

「ええ、解雇を言い渡されたばかりなので時間は沢山ありますよ。」

「それなら今日は俺達と泊まるとして、そろそろフードと防砂布をとったらどうですか?」


付けっぱなしにしていたことを今気付いたのか、ハッとした顔で急いで服装を整え始めた。


「店主さんは大丈夫なんですか?」

「何がです?」

「何がって、男性でしょう?」

「失礼なっ、僕はれっきとした女の子ですよ!」


フードや防砂布を外套ごととった店主を見た彼女は、声にならないくらい小さく何事か呟く。


店主はおそらくカスパールの言っていた『僕っ娘』という属性なのだろう。


その属性の概念を知らない彼女が驚くのも無理はない。俺が勝手に勘違いしていただけで、彼女が()()()()ではなかったというだけだ。


「貴方をお呼びしたのは一つ作って欲しいものがあるからです。」

「このレンズですか?」

「はい。ただ、欲しいのはもっと小さくて何より無色透明なものですが。」

「な、なるほど?」


スコープに必要なレンズの形状やサイズ、必要個数を事細かにまとめた紙を渡すと、店主は暫くじっとオーダーを見つめたまま固まった。


数分後、漸く動いたかと思うと店主は荷物をまとめ始めた。


「こうしちゃいられません、早速作りに」

「解雇されても工房は使えるんですか?」

「そうだった……」


どうしようか悩んでいる店主を放置して、俺はギルドマスター宛の手紙を書く。


「店主、これを。」

「これは紹介状ですか?」

「傭兵のギルドマスターに持っていきなさい。探索者の方でも良いが、そっちは忙しそうだから。」

「商人とかじゃないんですか?」

「残念ながらそっちにツテはない。」


内容は、店主に工房の貸出を求める。ガラス細工は帝都ではきっと金になる。店主自身の技術力も力になる筈。というものだ。


店主には伝えないが、封筒の中には本人の作った眼鏡のレンズを五、六枚入れてある。これを見れば彼女なら有用だと気付く筈だ。


「それにしても凄いですね。ギルドマスターにツテがあるなんて。」

「ないぞ?」

「はい?」

「話したことはあるし、彼女の印象にも残っているだろうが、仲が良い訳でも直属の部下という訳でもないぞ?」

「えぇ?!」


だが、話は聞いてくれるという妙な確信はあった。こういう勘は【レイ】になってから強く働き、もうひとつ予感している事がある。


店主には悪いが、一刻も早く俺達から離れ帝都に向かって貰わなければならない。

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