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おしゃべりカラスとガラクタの町  作者: しろながすしらす
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第5話 同じ学校!?


「お前あの時の何でここに?」


「……」


 少女は蓮をちらっと見た後、すぐに目をそらし逃げるように席に着いた。


 無視かよ!

 一瞬蓮はそう思ったが、よく考えてみれば当たり前だった。

 蓮は昨日の事件のおかげで金髪少女のことが強く印象に残っているが、金髪少女からすれば、蓮はただの通行人。そもそも認識されていない可能性もある。


 それにしても無視することないだろ。

 ていうか、何でうちの学校にいるんだ?


 蓮は席に着くと前の席に座っていたミッキーが振り向いた。相変わらず凶悪な面構えだ。


「何だお前あの子と知り合いか?」


「いや、知り合いというか何というか……、てかあの子誰だ?」


 蓮は小声でミッキーに話しかけた。


「いや、俺も詳しく知らないけど、普通にこのクラスの生徒だぜ。理由はよく知らないけどずっと不登校だったらしい」


「へー、知らなかった」


 無関心な蓮は自分のクラスに不登校の生徒がいるなんて知りもしなかった。そもそも、クラスの大半は名前を知らない。


「可愛いよな、俺はあんなきれいなハーフ見たことがない。きっとゴスロリとか着せたら似合うと思うぜ」


 ミッキーはいかつい外見とは裏腹に可愛いものに目がない。動物やら、ゆるキャラ、小さな子供を見かけると決まって顔がほころぶ。


 しかし、この外見なのであらぬ誤解を受け通報されることが多々あった。


「確かに似合ってたよ」


「何だそのまるで見てきたかのような言い方は?」


 午前の授業が終わり、いつも通り購買に向かおうとした時、蓮の前に先ほどの金髪少女が現れた。

 何かを言いたげにもじもじしている。


「何か用か?」


 金髪の少女はコクっとうなづくと小さな声で


「こっちに来て」


 と喋った。


 人に視線を合わせないよう早足で歩く少女を追いかけること数分。

 蓮は図書室の端っこに座っていた。昼時のためか人は全くいない。

 金髪の少女は蓮の対面の位置に腰を下ろした。

 さっきから、辺りを見回しそわそわして落ち着きない少女は天敵に怯える小動物のようだと蓮は思った。


「さっきは無視しちゃってごめんなさい!」


 少女はぺこりと頭を下げた。


「いや、いいって。こっちも初対面なのにいきなり声かけて悪かった」


「本当はちょっと聞きたいことがあったんだけど……、近くにいたスジ者の人に睨まれて怖くなちゃって」


「おおう。とりあえず落ち着け、あいつは見た目は極悪人だが人畜無害だ」


「そうだったんだ。見た目が怖くてつい……」


 少女は申し訳なそうにうつむいた。


「まぁ気にするな。それより話って何だ?」


「昨日、秋葉原にいた?」


 やっぱり昨日のことか。

 もしかしてあの時のことを覚えているのか?


「ああ、いたよ」


 そう答えると少女は「やっぱりあれは夢じゃなかったのかな」と小さく呟いた。


「これから私の言うことは馬鹿な妄想だと思ってくれていいから。えーっと何て言ったらいいかよく分からないんだけど、昨日、秋葉原で歩いていたら突然変な夢を見たんだ。私が怪物になって、そしたら変な格好した君が私を助けてくれたんだ。夢にしては凄いリアルだったから何か気になっちゃって」


 変な格好……

 蓮は少女があの時の出来事を覚えていると確信した。

 そうだよな。どう考えても変だよな。

 蓮はあの時の姿を見られていたことを意識し急に恥ずかしくなった。


「えーっと、どっから話せばいいかな」


 蓮がどう説明しようか悩んでいると、少女が蓮のすぐ横をじっと見つめていることに気がついた。


「どうした?」


「えーっと、朝からずっと気になってったんだけど、何で肩にカラスずっと乗っけてるの?」


「え! お前こいつが見えるのか!?」


「見えるけど、どうして?」


 あれ? 俺にしか見えないんじゃなかったけ。

 蓮の疑問を察したのか、カラスは小さく飛ぶと二人の顔が見える位置に立った。


「彼女もきっと蓮と同じような素質があるのです」


「喋った!」


 衝撃の出来事のあまり声のボリュームを間違えた少女は慌てて口を両手で塞ぐと小さな声で喋った。


「何でこのカラス喋るの?」


「カラスじゃないのです」


「えーっと説明すると長くなるんだけどーー」


 蓮は少女に謎のカラスのこと、秋葉原での出来事、閉鎖空間、レプシードについて説明した。


「やっぱり、あの時君が私を救ってくれたんだ」


「まあ、一応?」


 正直助けようと思って行動したわけじゃない。

 あの時はただ必死でどうにかしなければと思って動いた結果偶然助かっただけだ。


「本当にありがとう。私あの時のことぼんやりしか覚えていないけど、すごく寂しくて、苦しいような感じがして辛かったの」


「ああ、別に気にしないでくれ。それよりレプシードになった時のこと何か覚えているか?」


「えーっと、あの日は確か普通に秋葉原に遊びに行って……、中学生の頃の同級生にからかわれたんだ。そしたら気分が凄いモヤモヤして目の前が真っ暗になってその後のことは覚えていない……」


 少女は話しているうちにだんだんと表情が暗くなり、語尾が小さくなって言った。


「私、中学生の頃いじめられてたんだ。それで不登校になって引きこもってずっとアニメ見たりゲームしたりして現実逃避してたの。そしてあの日たまたま中学生の頃の同級生にあって、酷いこと言われて……」


「わかった、もういい……、嫌なこと思い出させて悪かった。レプシードになったヒントがあればと思って気になったんだ。本当にごめん」


 蓮は表情がどんどん暗くなっていく少女を見てこれ以上追求するのをやめた。


「ううん、いいの。あっ! でも、私あの時急に気分がすごい沈んだ気がする。元々性格が暗いからっていうのはあるかも知れないけど……」


「気分が沈むようになったきっかけは覚えていないのですか?」


 さっきまでずっと黙って話を聞いていたカラスが少女に尋ねた。


「うーん、よく覚えてない。何だろう強いて言えばいきなりすごい頭痛がした気がする。頭痛はすぐに収まったけど……、でも気のせいかもしれない」


「その頭痛があった時何か、頭に衝撃のようなものをうけませんでしたか?」


「うーん、あったようななかったような」


 少女は何かを思い出すように上を見ながら曖昧に答えた。


「何か思い当たることがあるのか?」


 蓮は何か知っていそうなカラスに聞いた。


「恐らく犯人は特殊な力でレプシードになるきっかけを与えたのです。その時の頭痛はレプシード化と大きく関係があるような気がするのです」


「私をレプシードにした犯人……」


 少女はうつむき考えるように顎を触ると突然顔を上げた。


「ねぇ、その犯人探しだけど私も手伝っていい?」


「やめとけ危険すぎる。死ぬかもしれないんだぞ?」


「わかってる。でも、犯人を許せない。私のようになった人たちをこれ以上放っておけないし、これ以上傷つく人たちも見たくない。私、黒い感情に支配されて周りの人間を傷つけていくのがすごく怖かったの。もしあの時、君が助けてくれなかったら私……」


「そんなこと言われても……」


 言いたいことはわかるが、蓮は自分勝手な行動に少女を巻き込みたくないと思った。


「それはいい案なのです!」


「あのなぁ、お前一般人を巻き込んでどうする」


「いえ、彼女はもう一般人ではないのです。蓮と似たような力を持っているのです。これは大きな戦力になるのです」


「そうなのか?」


 と言いつつも蓮は少し心辺りがあった。

 レプシードになった彼女を白い銃で浄化した時にたまたま彼女の中に眠る力が覚醒したのではないか。


「本当に!? ありがとうシロ!」


 少女は嬉しそうにカラスの方を見た。


「シロ?」


 蓮の疑問を察したのか彼女は説明を始めた。


「名前覚えてないんでしょ? 名前がないと色々不便かなと思って名前つけてみたの! 見た目が白いからシロ」


「安直すぎるのです。もっとワイルドな名前がいいのです」


 カラスが不満げに声を漏らした。


「いいんじゃないか。この際どうでも」


 蓮は少女の意見に同意した。


「あっ! そう言えば今更だけど自己紹介がまだだったね。私、柊玲奈ひいらぎ れいなって言います」


 少女は思い出したように言った。


「ああ、俺は暁蓮あかつき れんだ。よろしくな」


「うん、よろしく。って、もうこんな時間!? 昼休み終わっちゃう」


「おっ、マジだ!」


 蓮はスマホの時間を見て思ったより話し込んでいたことに気づいた。

 そろそろ戻ろう。


 教室に戻ると寂しそうなミッキーの背中が見えた。

 蓮が席に着くとミッキーが振り向く。


「お前どこ行ってたんだ? 寂しくて死んじゃうところだったぞ」


「ウサギかお前は」


 午後の授業が終わり帰りの支度をしていると、


「このあと、チョコレートパフェ食べに行かない?」


 ミッキーがそう言った。


「ああ、別にーー」


 と言いかけたところで蓮のポケットが振動した。

 スマホの画面を見ると、柊からだった。


「このあと、今後のことについて作戦会議しない?」


 蓮はすぐ横にいる柊を見たあと、返信した。


「直接言えよ」


「(/・ω・\) ハズカシイ」


「俺と話すことがか!?」


「違うよ! だって私今日初めて学校来たし、喋るだけですごい目立っちゃうじゃん」


「そうか、人前で話しかけるのもためらうくらいの奇人だと思われてんのかと思った」


「そんなことない(`・ω・´)キリッ」


 一通りのやり取りをした後、学校の最寄駅に向かうことになった。


「悪い、ミッキー用事ができたから、また今度な」


「何だよ、つれないなぁ。次は絶対だからな?」


「ああ、わかってる」


 蓮は悲しそうに去っていくミッキーの後ろ姿を見守った。

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