表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
件名 Re:start 貴方は本当に人生をやり直しますか? Yes? No?  作者: 白雪銀髪
一章 ゲームをスタートする時点から俺の人生は決まってた
2/3

2 【RESTART?】

終焉の地(ラグナロク)


神々が争ったその世界は、2つに別れてしまった


人類が住む大陸と魔族が住む大陸


神々が残した兵器や力は、世界の運命を望まぬ方向へと導く...


圧倒的な威力を秘めた魔法兵器を使い、魔王軍は人類大陸へと進軍


世界で最大の王国、ミズカルズ王国にも魔王の魔の手が迫っていた...


だが!王国の危機に、1人の勇者が現れた!


勇者は仲間を集め、魔王軍に果敢に挑む


だが、力が足りない...魔王に対抗するには勇者とその仲間では足りなかったのだ...


「諦めないで!」


そう叫ぶ、王女様


「国が、王国の民が、ついています!」


勇者の背には、1人の王女と今まで勇者に救われてきた領主達、そして、国民の命が乗っている


勇者は決心しました、今度は皆の力で魔王を倒すと...!


大人気ファンタジーゲーム!【ラグナロク】-終焉を呼ぶ声-絶賛発売中!



ブツッ



「...おい、電源落ちたぞ」


俺はしかめっ面で言う


「おや?おかしいですね、年代物ですし、寿命なのでしょうか」


仮面の男はさっきまでCMを映していたテレビを斜め45°の角度で叩く


「いやぁ、今の時代にブラウン管は無いって、ってそうじゃねーよ!?」


「後で買い換えますかね」


仮面の男は指を鳴らす


すると、テレビが地面の下へ吸い込まれていく


ウィーンという音と共に床ごと


「おおすげ...いや無視すんなし」


「これは失敬、で、何ですか?」


「さっきのCMはなんだよ、まさかあそこがその人生ゲームとやらの舞台なのか?」


俺は、さっきまでテレビに映っていた、竜が空を飛び、獣耳少女やどこにでもいそうな勇者等が映った異世界の風景を思い出す


「ご名答、リアル人生ゲーム【ラグナロク】はあの舞台にて行われます」


またもや指パッチンをする


床に穴が空き、そこから椅子とテーブルと紅茶の入ったティーカップが出てくる


「...まじかよ?」


「まじなの」


仮面の男は椅子に座って紅茶を飲む


「んんん...美味」


イラッ


「さて...今回ラグナロクをプレイして貰うにあたって、貴方達には領主という役割が与えられます」


仮面の男はティーカップを置く


「領主って...領地を統治するあれか?」


大体のイメージを答えてみた


「大体はそうですねズズ、貴方達はズズ、領主という立場でズズ、リアルを充実させてもらいますズズ」


ちゃんと飲んでから喋れや


いやちょっとまてさっきからどうやって仮面の上から飲んでんだお前...


まぁいいや


「リアルを充実って...どうやってだよ」


「ズズ...方法は様々ですよ、資金を増やして大金持ちになるもよし、女を見繕って嫁にするのもよし、領主という立場を捨て冒険者になるのもよし...とにかく人生を謳歌してもらいます」


「なんで領主から始まるんだよ、何でもいいなら領主じゃなくてもいいだろ」


「面白いからいいでしょう?斬新で」


「えぇ...」


「それとも貴方、ただの町人からリアルを充実出来ます?現実世界で無理だったのに出来るわけないですよね?ねぇ?」


顔をグイっと近づけてきた、仮面被ってるのに何か紅茶臭い息と唾が飛んでくるんだが...


「ハイ、スイマセン」


俺は正座して話聞くことにした


「まぁ設定では、領主の子供として生まれた貴方は、当時領主である父親の死、その後残された遺言をキッカケに領主という立場を齢15歳にして受け継ぐことにした...って具合ですかね」


「はぁ、そうですか」


俺は素っ気ない返事を返す


「ですが、やはり役職がそれだけでは面白くないですよね?」


仮面の男は立ち上がり


「なので、異世界に置いて貴方のスタート地点を決めるルーレットをしてもらいます」


指を鳴らすと、辺りが暗闇に満ちる


デーデーデーデッデデーデッデデーと言うどこかで聞いたようなテーマ曲が流れる


「ルーレットは、その名も...」


俺と仮面の男を、突如現れたルーレット台がスポットライトに照らされる


「『貴方の人生勝手に決めちゃっていいんですかマッシーン!』」


「...はぁ?」


俺は呆然とした


そのルーレット台は人生ゲームでよく使われるルーレットに似ているが...少し大きくて、数字が書いてあるはずの場所には何も書いていない


「このルーレットを回し、この針が指し示した部分に隠された言葉、それが貴方のスタート地点になります!」


「...」


「...」


コメントの仕方が分からず数秒黙ってしまう


「取り敢えず回してみてください、そうすればよく分かります」


そう言われて俺はルーレットの中央の取ってを掴む


一瞬浮かぶ疑問


「...何々が書いてあんの?」


「普通の領主以外は、勇者、王、魔王と、果ては大貧民でございます。この4つは御一人様限定でございますが、他にも細かい設定を儲けた領主が割り当てられます」


勇者か...生まれ変わるなら英雄が良いよな


王様も良いなぁ...


「...ゴクッ」


俺は手に力を入れ、良いのこいと願い、ルーレットを回す


ぐんぐん回るルーレットは、一向に止まる気配を見せない


-5分後-


「ズズズ...美味、やはり午後は紅茶に限りますね」


「俺にも飲ませろよ」


「嫌です」


キッパリ断られた


「はぁ、まだかなー」


ルーレットはまだ止まらない


-10分後-


「ちょっと出掛けて参ります、そちらの椅子に座ってはどうでしょう?」


ずっとルーレットを立ったまま見ていた俺はそう言われて用意されていた椅子に座る


「...いつまで回ってんだよ」


仮面の男はもう居なくなっていたが


ルーレットは未だ勢いを落とさない


-30分後-


俺は暇だったので仮面の男が使っていた西洋風なテーブルの上から一冊の本を取る


...日本語でも英語でもヘブライ語でもない言語で書かれたその本はこの俺に読めるはずもなかった


「...いい加減止まれよー」


ルーレットは未だ回り続けている


-1時間後-


「...早くボタンを押して止めたらどうです?」


「ボタン式かよっ!?」


仮面の男は某DBの瞬間移動のような効果音とともに帰ってくるなりそう言った


良く見たらテーブルの上にボタンが置いてある


説明しろや...


「もう私が止めますね」


「は!?ちょまて!?」


時既に遅し、言い切る前に既に押されていた


ルーレットのほうを見る


ルーレットは徐々にスピードを落としている


「...どこ言ってたんだよ」


緊張を誤魔化すために話かける


「テレビでございます、丁度いい大きさのが落ちていたので」


仮面の男は、記憶に正しいなら俺の部屋に置いてあるテレビと同様の物を片手で持っていた


「...落ちてたってどこだよ」


ルーレットから目を離さずに聞く、ルーレットはもう止まりそうだ


「貴方の家の焼け跡からでございます」


「やっぱ俺ん家のじゃねーか!」


俺は叫ぶ


その瞬間、ルーレットが止まった


「...」


俺は直ぐに駆け寄った、針が示す先には、何も書いていなかった


「これは上のテープを剥がすことによって下の文字が見れる仕組みでございます」


そう言って横から割り込んできた仮面の男は、ベリベリとそのテープを剥がす


勇者お願いします...王様お願いします...良い立場の人来てくださいお願いします...!


そこに書いてあったのは


「 大 貧 民 (笑) 」


「ハウアっ」


俺は椅子にもたれ掛かって、燃え尽きた、真っ白にな


「厳密には死ぬ時もお先も真っ黒でございますが?」


「ちょっと黙れよお前」


もはや叫んで反論する気力さえ失せていた


「それにしても大貧民...無様ですね、これで貴方のスタート地点はドン底なりました」


ウグ...


「お手上げ人生、今から死ぬか?後から死ぬか?大貧民とはそういう立場でございます」


ウググ...


「ですが、そんな不幸な貴方に、大貧民だけの特別ボーナスでございます」


「...え?」


顔をうつ向かせていた俺は、希望を眼に宿らせ、仮面の男を見る


「金、名誉、権力、領地、以外で異世界に置いての貴方に好きなものをプレゼントします」


「おお!なんでも良いのか!?」


「はい、何でも、と言ってもダメなのも有りますし、ここにそのカタログが...」


「可愛いメイドを下さい」


「は?」


「可愛いメイドを下さい」


再び繰り返す


「...理由を聞いても?」


「メイドが好きだからですっ!」


そう、俺は可愛いメイドが、好きなのだ


限定DOOの抱き枕...一緒に心中しちゃったけど、あれもメイドっ娘を描いた抱き枕なのだ


男なら誰だって可愛い子が側に居てくれればそれだけで有頂天に昇る気持ちになれる


「アホですか?」


「アホでも何でもいい、人生をやり直せるんだろ?人生満喫させればいいんだろ?」


「ま、まぁそうですね、ですがもっと他に願い事とか」  


「これ以外で俺の人生満喫出来る物なんてないねっ!」


「...分かりました」


仮面の男は俺の圧倒的な威圧感に押され(引いて)、少し距離を取る


「そ、それではこれより、参加の為の準備が整った西城勇生様に、最後の承諾をしてもらいます」


そう言って、男は一機のスマホを差し出してくる


そこにはこう書かれていた


『貴方は本当に人生をやり直しますか? Yes? No?』


答えはもちろん


「生まれ直すに決まってんだろ」


俺はYesを押した


突如、回りの空間にヒビが入り、ガラスが割れたような音を立てて崩れていく


「それでは、今から異世界へと参ります...進行方向は、真下へとなります」


その仮面の男の声を最後に、俺の意識は暗転した


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ