設定
今回は主人公のキャラ設定のお話になります、早速ブックマークがありました、ありがとうございます。
VRゲーム初のファンタジーRPG「ドラゴーン」の配信が開始された夜、部活を終えて帰宅した渚は夕食と入浴を済ませると配信開始から30分程経過した刻限にVRドライブを使用して「ドラゴーン」の世界へと飛び込んだ。
渚が最初に到着したのは仄かなクリーム色の明かりに包まれた空間で、渚が周囲を見渡していると前方に貸すかな揺らぎが生じ、それに気付いた渚がその揺らぎに視線を向けると揺らぎから白いトーガ風の装いを纏った美しい女性が姿を現した。
「ようこそ「ドラゴーン」の世界へ、案内役のラリッサと申します、早速ですがキャラメイキングを始めて頂きます、宜しいでしょうか?」
美女、ラリッサの問いかけを受けた渚は頷く事でそれに応じ、それを確認したラリッサは穏やかな笑みを浮かべながら言葉を続けた。
「ではキャラメイキングを開始致します、所属する種族を決めてから使用する武器を決めますか?それとも使用する武器を決めてから所属する種族を決めますか?」
「使用する武器から先に決めます」
ラリッサの問いかけを受けた渚は躊躇なく返答し、それを受けたラリッサが頷くと同時に渚の目の前に武器の名前が記されたウィンドウが表示された。
「では、リストから使用する武器をお選び下さい、質問があれば受け付けますので遠慮なく申し付け下さい」
ラリッサの言葉を受けた渚は頷きながらウィンドウに記されたリストをチェックして見ると、剣や槍、弓と言ったRPGではお馴染みの装備とそれに関する解説文が並んでおり、渚はウィンドウの画面に指を走らせて暫くそのリストを確認していたがリストの中にある単語の一つで指先が停止した。
マジックマスケット
解説
魔力を籠めて発射するライフルドマスケット、魔力は本体に直接魔力を充填(充填時間は10秒前後でMPを消費)するか、予め魔力を充填させた魔弾を装填して射撃する。近接戦闘に備えて銃剣が装着されており、短めの槍としても使用する事が出来る。魔力充填時の攻撃力はINTの数値の影響を受け、魔弾使用時の攻撃力は魔弾本来の攻撃力が適用される、射撃以外の近接戦闘の際はSTRの数値の影響を受ける。
またDEXの数値が高ければ射撃時のクリティカルヒット発生率が高まる。
渚は解説文にじっくりと目を通した後にラリッサに視線を向け、それに気付いたラリッサは渚に視線を向けながら口を開いた。
「質問でしょうか?それとも決定でしょうか?」
「決定です」
「でしたら決定した武器を指先でタッチして下さい」
ラリッサと会話を交わした渚がラリッサの指示に従ってマジックマスケットの所を指先でタッチすると、渚の目の前が淡く輝いてその中から銃剣が装着された滑らかな燻し銀の光沢を放つマジックマスケットが具現化し、渚はそれを手に取るとその重さを感じながらマジックマスケットの子細を確認した。
(長さはだいたい木銃(もくじゅう、銃剣道で使われる物、剣道の竹刀に相当し長さは着剣した三八式歩兵銃とほぼ同じ)と同じくらいね、これなら取り回しに不便は感じなさそうね)
マジックマスケットの子細を確認した渚は満足げに頷き、その様子を見ていたラリッサは少し戸惑いの表情で渚が手にするマジックマスケットを見ながら口を開いた。
「マジックマスケット、ですか……この装備は少々癖がある装備ですが、構いませんか?」
「はい、この選択はあたしの意思で行った物ですので、構いません」
ラリッサの問いかけを受けた渚は頷きながら迷いの無い口調で応じ、それを聞いたラリッサが小さく頷いた後に指を小さくパチンッと鳴らすとウィンドウの画面の表示が武器の解説から種族の説明へと変化した。
(マジックマスケットの扱いに重要な要素は射撃ならINTとDEXにMPで近接戦闘ならSTR、確かに癖があるわね、下手したら器用貧乏になっちゃうかも)
渚はそんな事を考えながら画面に表示された種族の説明を読み進めていき、暫く思案にくれた後に画面に指先をタッチさせた。
エルフ
森に住まう種族、魔法や弓の扱いに長けた種族でINT、AGIが非常に伸び易くDEXもかなり伸び易い反面、STR、VITがやや伸び難い
渚の指先が触れた箇所には種族、エルフの特徴が記されていて渚の行動を目にしたラリッサは確認する様に渚を見詰めた。
ラリッサの視線を受けた渚は大きく頷く事でそれに応じ、それを確認したラリッサがもう一度指を鳴らすと渚の身体が淡い光に包まれた。
「ご希望でしたら外見の変更を行って下さい、ただし性別の変更及び体格の極端な変更は不可能です」
ラリッサがそう言うと同時に渚の目の前にエメラルドグリーンのライトアーマーに身を包み特徴的な笹穂耳を髪の間から覗かせた自身の姿が映し出され、それを確認した渚はツインテールの髪を銀髪に変え、それから瞳をアメジストに変えた後にラリッサに外見の変更が終了した事を告げるとラリッサは頷いた後に言葉を続けた。
「それでは最後に名前とパラメーターの設定を行って下さい、設定ポイントが10Pありますのでそれを各項目に割り振って下さい、STRは武器使用時の攻撃力、VITは防御力、AGIは素早さ、INTは魔法の攻防力、DEXは器用さを意味しています」
ラリッサの説明が終わると同時に渚の前にパラメーターのウィンドウが表示され、渚は名前の欄にナギと記入した後に思案しながら設定ポイントを各項目に割り振り、最後に改めてステータスを確認した。
ステータス
名前・ナギ
性別・♀
種族・エルフ
HP・70
MP・45(+5)
STR・15(+5)
VIT・20(+10)
AGI・30
INT・35(+5)
DEX・20
所持スキル
風魔法LV1
森林戦闘
所持装備
武器・標準式マジックマスケット(STR+5・INT+5・MP+5、射撃消費MP5)
防具
レザーライトアーマー(VIT+10)
「……設定終わりました」
ステータスの最終確認を終えた渚がラリッサに声をかけるとラリッサは頷きながらウィンドウを表示させて渚、ナギのステータスをチェックし、それが終了すると笑顔で渚を見詰めながら口を開いた。
「以上で設定は終了です、お疲れ様でした、現在所持しているスキルはエルフ族固有のスキルになります、今後貴女の行動に従い、様々なスキルを獲得出来ます、それではこれより最初の町、アクティウムに貴女を転移させて頂きます、ナギさん、貴女の道のりに幸多からん事を願っております、いってらっしゃいませ」
「ありがとうございました、ラリッサさん、行ってきます」
ラリッサの激励の言葉を受けたナギはしっかりと一礼しながら言葉を返し、ラリッサはその言葉に微笑を浮かべながら指を鳴らしてナギを最初の町、アクティウムに向けて転移させた。
遂に始まったVRゲーム初のファンタジーRPG「ドラゴーン」渚は設定を経てエルフ族の魔銃使いナギとして異世界へと飛び込んで行った。