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あんりみてっど。どぅーむ  作者: あんりみてっど。
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プロットもどき②

⑤情報漏洩

4人が紅い霧の中を歩いて10分ほど経つと、突然、ほら貝の音を低くしてそこに獣のうめき声を混ぜ合わせたような音が聞こえてくる。

4人は血の気が引き、歩みを止める。しばらくして、ずざっずざっという重いものか何かでも引きずっているかのような音が近づいてくるのが聞こえる。緊張感が包む中、音の主が姿を現し始め、それを見た4人は顔を引きつらせて目を疑う。赤い色のごつごつした大きな人型の塊、二足で近づいてくるそれは全貌を4人に露わにする。

血管が浮き出た筋肉質の真っ赤な肉の塊が、足から頭までかけて全身でこぼこに盛り上がっている。

頭部と思われる部分にはミミズのような触手が無数に付きだしてうねっており、また散りばめられた充血した大小複数の目玉がぎょろぎょろと動き辺りを見回し、顔の下半分から胸にまでかけて大きく縦に裂けた口のような場所からは凶々しい牙のようなものをびっしりと口の奥までのぞかせている。

太い足を前に動かし、ずざっずざっという音を立てながらその怪物は4人に近づいてくる。

一葉が悲鳴を上げた瞬間、驚いたのか琉瑠人は泡を吹いて気絶する。桃子が琉瑠人の顔面を思い切りグーで殴ると琉瑠人は鼻血をだし痛みを訴えながらも意識を取り戻す。4人は一目散にその怪物の元から逃げ出そうとする。

しかし、怪物も走り出し、4人を追いかけてくる。図体がでかい割には思いのほか早い。伊織は、4方向に散らばって怪物をかく乱しながら逃げる案を出す。

伊織以外の3人はバラバラになることに一瞬躊躇するがみんな分かれて逃げることを心に決める。4人はせーので4方向に散らばる。

怪物は対象が4方向に分かれてしばらく迷っていた様子だったが、血の匂いにひかれているのか琉瑠人の方を追いかけだした。

桃子はとにかく息切れするまで全速力である一定の距離まで逃げてくると、どこからともなく、人の声がしてくるのが聞こえる。それが自分に話しかけられているということが桃子には次第にわかってくる。

内容が聞き取れるほどにまで声が大きくなると、その声の主は桃子と桃子の仲間が助かるように導くと言い出す。その代わりにここのとある工場の中に閉じ込められている自分を救ってほしいとのことだった。

案内をするというので桃子は声の主を信じ、その情報を頼りに紅い霧の中を進んでいく。声の主の名前はルイスというらしい。

桃子は廃工場地帯のことや、さきほどの怪物について聞き出そうとするが、それも後で全て話すと言うので、桃子は今は黙ってルイスの言うことに従うことにする。

ある工場の所まで来ると桃子はその工場の中に入るように指示され、ルイスがいるという部屋に案内される。

部屋に入ると、そこはむせ返るような腐敗臭が充満しており、部屋の中央にはベッドが一つ。ベッドの上には、紅色のドクロ蛾の刺青が施された左手の甲以外全身包帯でぐるぐる巻きにされている桃子と同じぐらいの背丈の人物が横たわっている。

ルイスはそれが自分であるので救ってほしいと桃子に懇願する。

救い出すって担いで連れて行けということなのか、桃子はルイスに尋ねるが、ルイスは自分の左手の甲に触れ、”あんりみてっどどぅーむ”と唱えるだけでいいと言い出す。

桃子は訝しむような顔をして、本当に自分の仲間も自分も助けてくれるのか再度問う。ルイスは、勿論、この地獄から解放してあげると言うので桃子はルイスの言った通り、ルイスの左手の甲の刺青に触れて”あんりみてっどどぅーむ”と唱える。


⑥謀略

その瞬間、桃子の左手に強烈な痺れが起きると同時にルイスの全身は暗い炎に包まれる。炎で包帯は全て焼き払われ、その中からルイスは美しい素顔をのぞかせる。暗い炎に包まれる中、ルイスは邪悪な笑みを浮かべて呟く。

あれから長かった。僕自身の存在を犠牲にして、これでようやく、僕自身は花開くことができるというものだ。

ルイスによって桃子は騙され、呪いを受けてしまう。

桃子の左手の甲から紅暗い不気味な燐光が放たれ、その妖しくも不気味な光は桃子の左手の甲に何かを刻み始める。痺れに加えて激痛が桃子を襲う、それは立っていられないほどで桃子は痛みと痺れに耐えながらもその場に座り込む。

桃子が自分の左手の甲を見ると、徐々に髑髏蛾の刺青が刻まれていく。

炎と同化しているかのように見えるルイスの身体は、炎とともに桃子の左手に吸い込まれていく。


⑦幇助

「僕を奈落から救い出してくれて感謝する、僕は天から僕自身の行ってきたことのなれの果てを、君を通して見物させてもらう」

そう言いながら消えかけるルイスに、桃子がわけのわからない勝手なことを言うな、約束と違うということを怒りながら訴える。

「騙して済まない、悪いがここでお別れだ、君の純粋さが穢れてしまわないことを祈る。 親愛なる其の者、鬼丸桃子、君の行く末に”あんりみてっど。どぅーむ”の因果よ、永遠に」

ルイスはそう言い残して完全に消え去る。


⑧加害

ルイスが完全に消え去ると、痛みや痺れは収まった。あまりの体験に桃子は呼吸を乱し脂汗がしばらく止まらない。

少し経って落ち着いた桃子は、ルイスの名を呼ぶも返答はない。

ここで桃子は自分が途方もない何かに騙されて、よくわからないが取り返しのつかないことになってしまったらしいことに気付く。

とりあえず桃子はげっそりしつつもその工場の外に出る。


⑨仲介、つなぎの段階

工場の外に出るとなぜか見覚えのある人物が見覚えのある黒猫を連れて立っていた。

輪積が現れ不運や欠如を桃子に知らせる。

わけがわからないがとりあえず今の自分は理不尽な目にあっている、それを感覚的に理解し悔しさが込み上げて半泣きになっている桃子に輪積は自分の忠告を破ったからだと話す。

桃子が、何が起きているのかとりあえず説明することを輪積に強いる。

輪積は自分は気まぐれだが今は少しは助力してやってもいい気分だと桃子に話す。

普段の輪積の感じと違って彼はサディスティックなようで、明らかに今の桃子の陥っている状況を愉しんでいるかのようだ。

輪積は、今ユーフォリアは15年ほど前から相当にややこしいことになってきているため、あまり多くは語れない、しかし少しは教えてやれると桃子に話す。

まず、魔術や魔法はこの世界に非公式だが存在し、シンプルに言えば桃子が先ほどルイスという人物から受けた仕打ちは、魔法であると輪積は話す。魔法と言ってもそれは生易しいものではなく、相当に強力で危険な呪いであるらしい。

発動のエネルギーが弱かったせいか、まだ呪いが小さく幼いままだが、それはやがてこの世界を滅ぼす以上の禍にまで発展するという。

具体的には、桃子が呪いと完全に同化した時、無限の平行世界に永遠に繰り返される破滅をもたらし続ける呪いそのものに桃子がなってしまうと話す。

世界を滅ぼし続けると言っても具体的にイメージができない桃子は輪積の話している内容をよく理解できない。左手の刺青は呪いそのもので、桃子と同化しつつあるらしい。同化がすすめば呪いの効力が顔をだす、そこから本当の恐怖がはじまることだろうと輪積は話す、そのうち自分と周囲に降りかかる呪いの力を見ればどういうことかわかるという。

手がさっき痺れたことを桃子が話すと輪積みは、手が痺れるだけなら大したことはない、そんなものは単なる副作用みたいなもので、風前の灯火ですらないと話す。

解く方法はわからないが、おそらくはミシュア機構を創始した魔女か魔法使いにでも聞けばわかるかもしれない、と話す。

ミシュア機構について桃子が聞く、多くは語れないが桃子が入るべき組織であり、間違いなく呪いの解き方に近づけるはずだと話す。

ミシュア機構に入りたければ呪いの力を使って彼らの前で力を示せばいい、さっきの怪物でも倒して見せろという輪積の無茶ぶりに桃子は無理だと怒る。

もしも、ミシュア機構に入って呪いの解き方がわからなくても必死で求め続ければ可能性はあるという。

せいぜい、左手の呪いに存在を喰われないうちに尽力しろと偉そうに言って輪積は去ろうとする。

最後に、ミシュア機構で魔女や魔法使いと言う言葉は絶対に使わない方がいい、彼らの組織の中で創始者である魔女と魔法使いの存在を知っているものはほんの指で数えるほどしかいない、すぐに消されてしまいかねない、あとグロ注意、そう言って輪積は消える。

輪積が消えて、来た道をとりあえず桃子が戻ると、琉瑠人の叫び声が聞こえる。

桃子は叫び声がした方に急いで走っていく。

桃子が琉瑠人の所に着くと、そこでは一葉と伊織が2匹の怪生物に頭から喰われている最中だった。

桃子はグロ注意と言い残した輪積のことを思い出し、ぶち切れしそうになるが、怪生物が伊織と一葉を喰らうさまを見てすぐに吐き気を催し怒りはどこかへ吹き飛び、桃子の心の内を恐怖と絶望が支配する。

そんな中、伊織を喰い終わった怪生物が琉瑠人に近づく、琉瑠人は腰を抜かしてしまって絶対絶命のピンチを迎える。

しかし、突如としてどこぞの学校の制服を着た少女がその場に現れ、人間離れした動きで怪生物をかく乱しつつ攻撃をかわす。

少女はどこからいつ取り出したのか、いつの間にか紅い色の武器を持っており、その武器で少女が怪生物の身体を貫くと、怪生物は赤い泡となって溶けてしまった。

一葉を喰らっていた怪生物も紅い武器を持った少女を狙うもこちらの怪生物も少女は容易く葬り去る。

桃子と琉瑠人が恐怖、吐き気から回復して気が付くと黒いスーツを身にまとった男が少女の近くに立っていた。黒いスーツの男は桃子と琉瑠人を見て、男の方はみたところ民間人のようだが、女、これからお前を調べ、場合によってはこの場で殺すと言いだす。男が少女に目で合図を送ると少女は見えない動きで桃子の心臓手前でナイフを止めた。桃子は全く何も反応できずにその場に立ち尽くす。

どう対応するのか観察したのか、男はとりあえず桃子と琉瑠人を捕らえるといって2人を気絶させようとする。桃子がお前らなんなんだと言った手前、少女によって桃子は延髄に手刀を入れられる。男がミシュア機構だ、というのを聞いて桃子は地面に倒れこむ。琉瑠人も延髄に手刀を入れられ気絶する。

少女と男が桃子と琉瑠人を回収しようとすると、意識を失ったままの状態で桃子の左手の呪いが暴走し、桃子が意識を失ったまま男と少女と戦闘になる。桃子の左手からは紅い色の半透明の物体が蛇のように何本か飛び出して少女と男に襲い掛かる。少女と男は驚くが圧倒的戦力差があるのか、桃子は少女の攻撃を受けてあっさり負ける。警戒して桃子の命をとろうとする少女に、男は殺すな命令し止める。2人は結局気絶したまま、少女と男の組織、ミシュア機構に捕まる。

桃子は奇妙な殺傷能力を保有していることから謎の多い人物としてミシュア機構で調査対象とされ、琉瑠人はもしも調査して一般人だった場合処分されることが決まる。

しかし、ミシュア機構の研究員、兎束櫻助うづかおうすけに扮する輪積よって苦しみの生か、安らかな死か選択を迫られ、琉瑠人は組織の兵士として特殊な生物兵器を移植され、苦しみの生を選び助かることになる。

桃子は自分を雇うようミシュア機構に交渉をもちかける、組織の者と戦闘して勝った場合のみミシュア機構が桃子を雇うことになる。桃子は呪いの力を借りて、実力を示すことに成功しミシュア機構の調査員として組織の中に入ることに成功する。

桃子と琉瑠人は組織の一員となり、任務を遂行しつつ、自分達の解くべき謎や目的を果たすべく行動していくこととなる。

・桃子の目的

 行方不明の環の捜索。呪いを解くための情報を見つける。

・琉瑠人の目的

 桃子に協力する。また、生きたいがために、組織の犬となって任務を遂行していく。

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