凜と荒野とドラゴンと
俺はあのロリコンを追って、同じ魔方陣に入ったよな? これは一体どいうことだ?
──目の前に広がる果てのない荒野と、目算25mはくだらないであろうドラゴンが──
ドラゴンは全身を漆黒の鱗に覆われ、頭から4本の鋭く尖った角を生やし、胸にあたる部分には赤電を放出している。
あれだ、モン○ンのミラバ○カンだ。馬鹿でかいが……
「グルルルル……」
ミラ○ルカン(仮)は突然現れた俺に警戒しているのか、一定の距離を保ったまま俺を威嚇している。
よし、落ち着け……おちゅちゅけ……おりぇっ……!
駄目だああああああああああ! そ、そうだ! 一回状況を整理してみよう!
俺は糞ロリペド勇者を追っかけてあいつと同じ魔方陣に入った。だが着いたのは一樹が召喚されているであろう城ではなくこの荒野。そして超デカいドラゴン(しかも警戒してる)……
俺の装備……パーカー、ズボン、スニーカー、リュック(教科書、新品ノート×5、筆記用具、財布)、パン屋のパン大量……武器なし
詰んだ! 俺、死んだ!
「誰か、助けてくださーーーーーい!!」
「ガウッ!?」
ビクッ
……は、どういうことだ? 俺の叫びでドラゴンが怯えた?
ドラゴンに向かい、思いっきり一歩踏み出す。
ドン!
ビクッ
ドンドン!
ビクビクッ
ドンドンドン!
ビクビクビクッ
……なにコイツ、超かわいいんだけど!
巨大なドラゴンが小動物みたいにプルプル震えてるとなんつーか、こう、ギャップ萌え?みたいな感じがあるな……
……パン、食べるかな?
袋の中から食パン一斤を出してドラゴンの前に置く。
ドラゴンは警戒しながらもパンのいい匂いに負けたのか、一口で食べた。