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しかし、この日は違っていた。
雨が降っているにも関わらずまるでその場所だけスポットライトが当たっているような感覚であった。
その女性はまるで女神ようであった。
しかし彼自身、自分自身のこの表現が好きではなかった。
なぜなら、彼の恋愛観は常人のそれとは少し異なっていたからである、
学生の時から、異性から特別に好かれてもいなかった彼だったが、それが特別、苦にはならなかった
そして、それがありがちな形で女性へ過剰な恋愛欲として彼自身にに現れることはなかったし、
むしろ彼自身が自分にとっての特別な存在として他者を見ることができないと言ったほうが正しいかもしれない。
そんな彼にとって他人の女性がまるで女神などという表現を許容できるはずもなかった。
彼女は彼を少し見た後、彼に少しの微笑みを向けた。
彼はその微笑みに決まりきったような会釈で答えた。