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ラブロマンスはほどほどに  作者: れんじょう
ラブほど。おまけ
42/44

附録 『ほんのヒトコマ』

前回の附録、その後のちょっとだけなヒトコマです。

なんだかだんだんと瞳子が幼くなっていく……。


 「無理。 もう……無理」

 「大丈夫だ」

 「でも……ここをつーってするのが」

 「手を取って一緒にするか?」

 「いやっ!」

 

 瞳子の習字に付き合うのもそろそろ限界か?

 書く道具というのが瞳子の世界でいうボールペンや鉛筆というものとは違うらしく、扱いが難しいらしい。

 鳥の羽根を墨液に浸して使うリエンのペンを、瞳子は苦労して使っている。

 瞳子いわく、昔のヨーロッパという場所で使われていた道具なのだそうだ。

 たしかに使い始めるころは先が引っ掛かって難しいが、慣れれば美しい文字がすらすらと書けるようになるのだが、まだ瞳子はそこまでに達してはいない。

 あちこちに引っかかってしまい、瞳子の薄い色彩の衣裳に黒々とした点を付けていた。

 明日練習させるときは衣裳の上に汚れてもいいように何か着せておこうと誓ったのはいうまでもない。


 「……できたっ! 今までで一番綺麗に書けたと思う」


 得意げに見せられた紙には、リエンの文字で「ミツイ」と書かれている。

 たしかに今までで一番美しく書けてはいるな。


 「ああ。 綺麗だ……文字も瞳子も」


 何気なしにいった言葉が瞳子の顔に色を付けた。

 

 「ほっ……ほんとう?」


 真っ赤になった顔を上げることなく上目遣いで私を見た瞳子は、どうしてこう護りたくなる気持ちにさせる。

 

 「ああ。 本当に」


 机という壁がなければ従者や女官が見てようが関係なく瞳子を抱きしめていたことだろう。

 ああなんて面倒なんだ。

 ライが止めなければ、瞳子がリエンに渡ってきた直後に結婚して思う存分瞳子を独り占めできたものを婚約期間というものに縛られて、二人きりになることがこんなに難しいものだとは。

 

 「じゃあ、連れて行って!」

 「約束はたがわないからな」 

 「やった!」


 向こう側に行けると小躍りする瞳子をほほえましく眺めていたら、部屋の反対側からコホンと咳払いして瞳子の教育女官が「はしたないですよ!」と瞳子を諫めている。

 それでも瞳子はにこにこと笑い、誇らしげに女官に自分の名を書いた紙を見せていた。

 

ヒトコマすぎましたね・・・

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