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ラブロマンスはほどほどに  作者: れんじょう
ラブロマンスはほどほどに
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自主製作 最終話

 拝啓 千紗さま


 お元気ですか? 私は元気にしています。

こうやって手紙を書くということを普段しないせいか、ちょっとらしくもなく緊張しています。


 リエンは今、春です。 もうしばらくすると夏になるけれど、そちらほど暑くはならなくて五月下旬くらいの気温になるそうです。 あ、ちなみに春といっても早春くらいなのでちょっと肌寒いかな?

二種類しか季節がないっていうのはとても不思議な感じがします。


 あれから、もう一ヶ月経ったんですね。

 こちらの人たちは黒綺の半神であるということと、おじいちゃん(先々代の魔法使いの長)の血族だということが見た目(髪と瞳)でわかるので、とても優しくしてくれていますから、心配しないでね。


 結婚式の準備も、進んでいます。

 当代の魔法使いの長であり、現国王の兄でもある黒綺にはそれなりの決まりごとがあるようで、私が質素にしたいといっても聞き入れてはもらえませんでした。 仕方がないよね。 頑張ります。 

 本当は千紗にも結婚式に出席してほしいんだけれど(生ファンタジーだし?)、でも界渡りしたときの身体のダメージを考えると誘うことができませんでした。 本当にごめんなさい。 千紗の後押しがなければ私はここにいないのに、一番呼びたい人を呼べないのは残念です。


 結婚式の準備とともに、魔法の勉強もしています。 もちろん先生は黒綺ですけどね。

 先生としての黒綺は厳しいとしか言いようがないです。 でもそのおかげでリエンの人たちと話す手段を魔法で得られてよかった。 今ではリエンノ人と日本語で話しても大丈夫。 魔法で変換できるからね! つくづく魔法って便利だよね。(使えるようになれば、だけれど)

 もうちょっと頑張れば一人で界渡りできると、ちょっと悔しそうに黒綺が教えてくれました。 さすがおじいちゃんの血族だけあって魔力がかなり大きく澄んでいるそうです。 そういわれてもわからないんだけれどね。


 あ!そうそう。

 マンション、買ってくれてありがとう! 千紗が住んでくれているって思うだけで、そちらの世界につながっているって思えてすごくうれしい! それにそこなら私の家(と黒綺がいってくれているけど)とも姿見がつながっているから、私が界渡りの魔法を習得できたら行き来できるしね。 そのためにも勉強、頑張ります!

 会社も残ってた有給休暇使って、すぐに休みを取って辞めれたのはラッキーでした。黒綺が私のことを片時も離したくないみたいで(あ、のろけじゃなから!)、退社手続きやマンションの権利譲渡手続きが終わるまでものすごーーく大変だったから、あと一日でもそちら側にいるとちょっと怖いことになっていたかも? 真面目だった自分に感謝 (あはは)、そしてそこを買ってくれた千紗に大感謝♡


 最後に、この手紙を界渡りのできる『猫』に託します。

 察しのいい千紗のことだから、これだけで十分わかるかな?

 それとも、この一ヶ月の間に誰か好きな人ができたかな?

 

 ライが私と黒綺の危機を救ったように、今度は私と黒綺がライの危機を救いたいと願って。


  瞳子 拝     乱筆乱文、ご容赦を!!!(読み返したらとんでもなく子供っぽいね、この手紙!)


 **********


 

 にゃうん


 「うん。 ありがとね」


 千紗は足元にいる黒壇色のつややかな毛の猫を拾い上げ、膝の上に置いて撫で始めた。 

 もちろん爪で型がついた首輪をはめている。


 手紙を読み終えて、千紗は思った以上にほっとしていた。

 瞳子は向こうの世界で上手くやっているようで。

 

 あの時、寝室に行って寝ようとしたものの実はあまり寝れなくて。

 聴き耳を立てるほど野暮じゃなかったから、折り合いがついたと思われる頃に顔を出したら……恥ずかしかった。

 いやほんと、恥ずかしすぎてどうしようかと思った。

 引き返そうにもばれているかな?って思ってそのままソファに座って待っていたけれど、二人の世界を作ってしまってこちらの咳払いとか物音とかを拾うことはまるでなくて。

 ずっとこのまま放置したらどうなるのかしら?なんて思ってしまうほど、熱気が伝わってくる二人。

 抱き合うだけでよくもまああんなに熱い空気を帯びることができるものだと感心しまくったけれど。

 いい加減見あきたので声をかけたら、ぱっとまるで擬音がはっきりと聞こえるように離れてしまったっけ。

 携帯があれば写真を撮って笑いネタにしてやるのに!

 冗談半分で軽口が言えるほど、強いきずなが二人にできたことは簡単に見てとれた。

 

 瞳子は幸せになる。


 そう確信した。

 結婚式には本当は出席したい。

 けれど瞳子の(異次元の)家に行くだけで苦しい思いをしばらくしないといけないのに、リエンに行くとなるとまた数段レベルアップした苦しみを味わなければいけないのなら、瞳子には申し訳ないけれどどうしても行けない。 

 ライにカメラを渡して写真でも撮ってもらおうかしら。


 なう


 首をかしげた黒壇色の猫が、じっと何か言いたげに千紗を見つめている。

 

 「ねえ? お返事持って帰ってくれる?」


 相手がライだとわかっていても、どうしてもかわいらしい猫の姿だと話しかける言葉も優しくなる。

 

 猫マジックだわ。

 もしこれがライの本来の姿なら、国王さま丸出しオーラでかかってくるからそんなことも頼めないしね。 

 猫だから気安く頼めるっていうのは、いいんだけれどね。


 「名前……つけようね。 深雷(みらい)。 よい名でしょ? 私だけの深雷」


 そうしたらこの世界で魔力が深まるという願いを込めて、深雷と名付けた猫の首輪に瞳子への手紙をまきつけて、そして深雷の口にキスをした。


 猫は驚いて目を見張り、壊れたおもちゃのようにガタピシと動いたかと思うと、慌ててガラス戸に飛び込んで行った。


 「またね」

 にゃう!!


 おバカさん。 

 今度は人間の姿で会いたい――――な。


 くすくすと、ひとしきり笑い終わると、千紗はキッチンに準備していたものを取りに行った。

 冷蔵庫から瞳子が好きだったミルクレープを、そしてケーキには合わないけれど思い出の緑茶を入れた。

 

 そしてガラス戸の前で向こう側のリエンにいる瞳子と黒綺の結婚を、千紗は一人、祝ったのだった。

 


 

                                ***** 終


 

最後までお付き合いくださって、ありがとうございました!

瞳子と黒綺のリエンでの生活は、また短編として上げていきますので、完結ではなく続きとして置いておきます。

よろしければ、もうしばらくお付き合いくださいね^^



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