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【書籍化決定!】【R15版】変態リケジョちゃんは追放魔族の“珍(ちん)”な部分に興味があるようです。  作者: 真星 紗夜


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08.さらに覚醒を続ける能力。


 部屋に光が差し込む。


「...もう、朝か?」


 俺はあの後夕飯も食べずに、涙が溢れる気持ちを受け入れ、考えた。

 初めは何の感情で泣いてしまうのか分からなかったが、“悔し涙”これが答えだった。

 答えに辿り着いた安心感と共に眠ってしまったのだ。


「流石に腹減ったなぁ...。何か食べ物あるかな?」


 俺は朝食を期待してリビングへ降りていく。


「おはよう。ミズナ。

 もうすっかり元気になったぜ。朝飯何かないかな?」


「あ、昨日の夜、パスタ作り過ぎちゃったんだけど、」


 おっ、朝からパスタか。

 腹減ってるからたくさん食べれそうだ。


「無事に全部食べ切れたのよ!」


 ズコーッ!!


「なんだよっ!パスタ残ってるから食べていいよって流れじゃないのかよっ!」


「エヘヘ。ごめんごめん。

 パンならあるから、好きなだけ食べてもいいのよ。」


 俺はパンを一切れもらって食べた。

 そうしている間に、双子が家に来た。


「おはようさんねぇ!コウ!ミズナ!」


「おっはよう!今日も最高の指揮を頼むぜ!相棒!」

 

 俺もゴブリン捕獲の準備をして、玄関前に立つ。


「今日も作戦開始だ!行くぞ!みんな!」


「「おー!!」」


・・・・・・・・・・・・・・・


 あれから数日たった。


 俺たちパーティは毎日ゴブリンの捕獲を続け、既に九体のゴブリンを引き渡していた。


 今日は十体目のゴブリンを捕獲する予定だ。

 ここまでくると、変わり映えしない毎日に退屈とさえ感じるようになっていた。


 退屈とはいえ、一瞬の油断が命取りになる。

 俺は周囲を警戒して森の中を進む。


「今日はどんなゴブリンが来るんかねぇ?

 しっかし、ウチら大金持ちになったもんだよ!」


「油断するなよ姉貴。

 今日もしっかり指揮通りの仕事をしようぜ!」


「アタシ、ユータンとヒルクが強過ぎて、毎日ロープを濡らすだけの女になってるのよ...。」


 ...ガサガサッガサガサガサッ!


「来るぞ!みんな気を引き締めろ!」


 ...なんだ?

 今日のくさむらの揺れはいつもと違う感じがする。


 ガサッ!  ガサッ!!


「「グムギャァアァァオ!!」」


 雄叫びと共に二体のゴブリンがヨダレを垂らしながら飛び出してきた。

 どうやら空腹で苛立っているようだ。

 二体同時なんて、今回が初めてだ。

 

 その時俺は、何となくだがこの二体がカップルのように見えた。


 いや、とにかく今は指揮を取らねばならない。


(ミズナとユータンのペア、俺とヒルクのペアで別れて戦闘するぞ!)


「「了解!」」

 

(俺たちのチームは早期の決着を試みる!

 ミズナたちはなるべく遅延しててくれ!)

 

 俺とヒルクは夫ゴブリンの注意を引き、おびき寄せる。

 夫ゴブリンは明らかな挑発に気づいたのか、冷静に距離を取って手に砂を握り、ヒルクの顔面に投げつけた。


「ぐわっ!目がっ!」


 ヒルクが目をやられたのか...!

 これでは指示が伝えられない...。

 くそっ!どうすれば...!


「ヒルク!落ち着け!

 目が見えなくても、俺の声を聞け!」


 だが、近くで戦闘が始まってしまったユータンと妻ゴブリンの雷撃のように激しい命のやり取りの音が、それを許さない。

 俺の声はヒルクに届いていないようだった。


「ぬおぉぉ!前が...、見えねぇ...!」


 ヒルクは目を瞑ったまま戦闘を続けている。


「無茶だ!ヒルク!一旦退け!!」


 ...ダメだ。聞こえていない。


 俺も手に持っていた鎖で援護しようとするが、とてもこの激しい電光石火の戦闘に加わる事はできない。


 直後、ヒルクは敵の動きを見切るのに失敗した。


 夫ゴブリンがヒルクの背後に回り、後頭部めがけて棍棒を振りかぶった。


 ヒルクが...。死ぬ...?


 そう思った次の瞬間、俺の目が輝きを放つ。


「はぁぁぁああああ!!!!」


 俺は覚醒した。


(ヒルク!敵は後ろだ!盾を後頭部に構えろ!)


 目を見なくとも俺の気持ちがヒルクの心に直接届き、ヒルクは指示通り盾を構えて攻撃を防いだ。


 ガンッッ!!


「いってぇなぁ、やってくれたなゴブリンさんよぉ!」


 ヒルクは冷静さを取り戻し、いつもの感じになった。

 

「おい相棒!今のスゲぇぜ!

 目はまだ見えねぇが、お前の気持ちは伝わってる!指示をくれ!」


(間違いなく伝わっているんだな!了解した!

 四時の方向にシールドバッシュだ!

 ヨロケた隙に脚を掛けて転ばせるんだ!

 あとは俺に任せろ!)


 ヒルクは指示通り夫ゴブリンを地面に倒した。

 俺はその隙に濡れたロープを夫ゴブリンの腕ごと胴体に巻き付け、冷凍した。


 次はあっちの戦闘だ。

 ユータンが肉弾戦でかなり押し込まれているように見える。

 やられるのも時間の問題か、なら...。


(ミズナ伝わってるな!俺の上空に向かって水を最高出力で撒いてくれ!

 今から冷気で氷の槍を作ってユータンを援護する!)


「了解なのよ!あっ、イタっ!」


 ミズナは右腕を押さえて倒れ込んだ。

 あそこは、こないだゴブリンに噛まれた場所だ。


 プシャァァ...。


 元気なく足元に発射される水。

 おまけにトリガーが壊れたのか、引きっぱなしになり水たまりが出来る。


 その瞬間、俺は閃く。


「冷気寒波ッ!」

 

 俺はその水を凍らせてその上を滑り、最速でユータンに合流した。


(ユータン、そのゴブリンは脚に疲労が溜まっている。

 もう少し粘ってくれ!

 フラついたところを俺が仕留める!)


「了解した!」


 ユータンは妻ゴブリンを左右に揺さぶる。

 フェイントのかけ方に無駄がない。

 芸術的とさえ言えるだろう。

 

 妻ゴブリンの膝が崩れたチャンスを俺は見逃さない。

 濡れたロープで胴体を絡め取り、冷凍した。


 一件落着か...。

 


 戦闘を終えた俺にミズナが駆け寄ってくる。


「ふぅ、二体同時なんてビックリしたのよ〜!

 しかも、お尻もびしょ濡れで最悪なのよ〜。

 ...って!コウの目!光ってる!」

 

「ウチ、コウの目を見てない時でも、声が聞こえた気がするわ...。」


「姉貴。どうやら俺のピンチが相棒の新しい能力を開花させちまったみたいだぜ。へへっ。」

 

 ヒルクは得意げな顔をしているが、命の危機だった事は気づいてるのか?

 いや、気づいた上でこの余裕なんだ。

 この男、相当な覚悟を持っているようだな。


 ゴブリンの数が増えてきて危険度が増している事を考え、俺はみんなに提案する。


「今日のところはもう帰ろうか。

 能力については後でゆっくり話すよ。」


 俺たちパーティは帰路についた。


・・・・・・・・・・・・・・・


 一方その頃、魔王軍ゴブリン討伐兵団は...。


「トップ団長!オラこんな数のゴブリン、相手できねぇだす...!」


「文句言ってんじゃねぇぞ!死んでも守んのがガードの仕事だろうがっ!」


「ちょっと何なのよぉその言い方!団長がこっちのルートが安全だって言うから私たちついてきたのよ!」


「うるせぇぞアネモネ!お前には散々いい思いをさせてやったんだ!

 お前も今からガードだ!身体で俺を守れ!」


「あんっ!そんなの無茶よぉ!コウ君の指揮があればこんな事にはなってないわ!」


「おい、アネモネ!

 アイツの名前は二度と言うんじゃねぇぞ...!」


「トップ団長。すみませんが、私この兵団もう無理です。

 一人で本島まで帰らせてもらいますよ。」


「ワシももう抜けさせてもらうぞ。団長。

 ジェイ、一緒に帰らんか?」


「いいですよ。ヒュー君。

 私一人の護衛なら、貴方の守りは素晴らしいですからね。」


「...クソが!オメェら覚えとけよ!!」


 ジェイの一言で兵団は分裂した。

 兵力を失ったトップ団長は本島へ撤退を余儀なくされた。


・・・・・・・・・・・・・・・


 話は人間界へ戻る。

 

 俺たちパーティはミズナの家で夕飯を食べ始めた。


「そういえば!コウの新しい能力って何だったのよ?」


「そうだな。後でゆっくり話す約束だったな。

 まあ、言葉で説明するより、いつも通り実践して教えてやるぜ。

 ミズナ、後ろを向いてくれ。」


「ほいっ!向いたのよ〜!」


(うわっ!背中にデッカい虫ついてんじゃねーか!)


「ええっ!?ちょっとコウ!取って取って〜!

 虫は大嫌いなのよ〜!」


「ハハッ、嘘だよ。虫なんていないって。」


「んも〜!やめてよ〜!

 ってアレレ?アタシ、コウの目見なくても、想いが伝わってきたのよ!」


 またも得意げな表情をしているヒルクが割って入る。


「へへ〜ん!どうだ!それが相棒の新しい能力だぜ!

 それが発動してなかったら、俺マジで死ぬところだったんだぜ...?」


 おっとと、ヒルクの話を聞いているうちに、めまいが...。


 慌ててユータンが駆け寄る。


「ちょっとコウ!アンタ大丈夫かい?」


「すまんな、ユータン。

 どうやらこの能力は相当体力を使うみたいだな。」


「今晩はしっかり休みなね。

 明日はゴブリン二体を引き渡しに行くから、コウにもついてきてもらいたいしねぇ。」


「そっか。明日は俺も行くんだな。

 まあ正直、国王のいる場所がどんな感じなのか気にはなってたしな。」


「んじゃ!俺らは帰るとするか!姉貴。

 また明日な!」


 家には俺とミズナだけになったが、

 ミズナはいつも通り部屋にこもって研究を始める。

 

 俺は自室で休むことにした。


 明日は初めて国王宮殿を訪問する予定だ。

 未だに人間界に潜伏している魔族探しの警戒は解けていないからな。

 絶対にバレないよう気を引き締めて行かないと...。

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 ※作者は特級の声優ヲタです。キャラクターの脳内再生CVなど、お気軽に自由なコメント待ってます!

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