18.大規模ゴブリン討伐開始。
「ふぁぁあ、もう朝か...。」
正直、緊張であまり眠れなかった。
リビングへ行くと、また母さんが自慢のジャポルネ流朝ご飯を作っていた。
「おはよう、母さん。
昨日も思ったけど、早起きなんだな。」
「あらおはよ。
お母さんね、料理をするのが楽しみで、つい早く起きちゃうの。
しばらくは保存食生活になるから、今朝は気合いが入っちゃうわ〜。
はい、どうぞ。」
「げっ!!これってお寿司じゃないか?
気合い入り過ぎだろっ!
そしてウマぁぁい♡」
舌がとろけそうな程の絶品お寿司を嗜んでいると、ミズナが部屋から出てきた。
「おはよう、コウ。サヤカさん。
えっ、これってなんですか⁉︎
ご飯の上に生の魚が乗ってるのよ...。」
「まあまあミズナ食ってみな、飛ぶぞ。」
「じゃあ遠慮なく、いっただっきま〜す!
んんっ!美味し〜い!今日から頑張れちゃうのよ!」
「ミズナちゃんに気に入ってもらえて嬉しいわ〜。
ほら、もっと食べて!」
後から合流したヒルクとユータンも満足そうにお寿司を食べて、飛んだ。
そして俺たちはいよいよエアカーに乗り込んだ。
俺は運転席からみんなに声をかけた。
「俺たちの作戦は、空中からゴブリンを索敵して、見つけ次第討伐する事だ!
みんな気合いはバッチリか!」
「バッチリなのよっ!」
「腕が鳴るさねぇ!」
「おうよ!サヤカ様のお寿司がしばらく食べられないのは残念だがな。」
「ヒルク君、帰ってきたらまたたくさん作ってあげるわよ!」
「よし!エアカー発進だ!!」
エンジンをかけ、上昇しようとしたその時、ミズナが声を上げる。
「えっ、ちょっと待つのよっ!!」
「ん?どうしたミズナ、そんなに大声出して。」
「コウの方こそ!エアカー発進だ、なんてセリフじゃキマッてないと思うのよ。
何かこのエアカーに名前を付けてあげて欲しいのよっ!」
「おいおい、今言うことかよそれ...。」
「ミズナちゃんの言うことも分かるわ〜。名前付けてあげると愛着も湧くと思うわ。
ヒルク君、こういうの得意そうだけど、何かいい名前ないかしらね?」
「んん、こういうのはどうでしょうか?
サヤカ様ラブカーとか?」
「いやセンスねぇよ!ふざけてる場合かぁ?」
「そうさねぇ、弟には聞かない方がいいと思うよ...。
ウチらは人類の希望って事なのよねぇ?そして、隠された世界の歴史を取り戻す旅でもある...。
今は消されてしまった古いエウローペの言語で希望ってなんて言うんだい?サヤカさん。」
「そうねぇ、確かエスポワールとか言ってたわ。」
「何それっ!なんかカッコいいのよ!
希望の船エスポワール号って言いたくなるのよっ!」
なんか俺、昔そんな名前の船が出てくるアニメを見てたような...。
「じゃあ決まりさね!
希望の船エスポワール号!ウチも気に入ったよ!」
まあ、みんなが気に入ってるならそれでいっか。
「じゃあ改めて。
希望の船エスポワール号!出航だっ!」
「「「おー!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく飛行を続けると森を抜けて平原に出てきた。
「すっごーい!アタシこんな広い土地初めて見たのよっ!
家もあんなにちっちゃい!」
「この辺りもギリギリ人間界なのよね〜。
みんな!地上の監視怠らないでね!」
皆それぞれ地上を見ている。
すると、何かに気が付いたのかヒルクが大きな声で報告する。
「おい!あれってゴブリンじゃねぇか?信じられないが、十体くらいの群れで行動してるぞ!」
「ヒルク、本当か?
だが、それほどの群れを形成するゴブリンなんて聞いた事ないぞ。」
「コウ!とにかくあの辺の丘に着陸させるのよ!」
「了解だ!」
俺はゆっくりとエスポワール号を減速させ、着地点を見極める。
みんなはその間に戦闘の準備をしていた。
「よし!着いたぜ!
降りたらまっすぐ群れの方へ向かう!」
俺たちはゴブリンに気付かれないように陣形を整えた。
(集団戦はなるべく避けたいな...。
ヒルク、まずはゴブリンの注意を引いてくれ。)
「了解したぜ!相棒!」
ヒルクは地を蹴り、重い足取りで敵陣へと突進した。
ゴブリン全員が、彼一人の圧倒的な存在感に視線を引きつけられる。
(母さんとユータンは最も後方の二体を処理してくれ。
どのゴブリンの視界にも入っていないはずだ。)
「了解!行くよっ!サヤカさん!」
「ええ!ユータンちゃん!」
二人はヒルクが作った揺動の隙を逃さず、俊敏な動きで全てのゴブリンの死角に入り込む。
ユータンは剣で一体の喉を正確に掻き切った。
母さんは一体の頭を鷲掴みにし、熱波で溶かした。
「グギャァァオ!!」
(いいぞ、ゴブリンたちはなぜ味方が死んだのか分かってない様子だ。
もう一度繰り返すぞ!)
合図と共に、母さんとユータンは再び暗殺を決める。
残りのゴブリンは六体だ。
ようやく一体のゴブリンが二人のアサシンの存在に気付き、指を指す。
「ギャァオ!ギャァァオ!!」
母さんはともかく、ユータンは普通の人間だ。
存在に気付かれてしまっては勝ち目は薄い。
(ユータンはとにかく身を隠せ!
母さんはヒルクと一緒に敵の注意を引くんだ!)
ユータンは茂みに身を隠し、母さんは戦場を縦横無尽に駆け回る。敵は目で追うので精一杯だ。
だが、まだこちらには姿を見せていない戦士が二人もいるんだぜ。
(ミズナ!アクアタンク高出力狙撃モード!
母さんに気を取られているヤツらの足を撃て!)
「分かったのよ! 水流よ、敵を狙い撃て!」
ミズナが銃身を構えると、勢いよく水が噴き出し、複数のゴブリンを足元から薙ぎ払って転倒させた。
「いいぞ!ミズナ!あとは俺に任せろっ!
吹き荒れろ!冷気寒波ッ!」
俺は足元がびしょ濡れで身動きの取れないゴブリン共に狙いを定め、両手から最大の冷気を放った。
ゴブリンの下半身は完全に凍結し、身動きが取れずただ叫んでいる。
「ギャァンァァ!!」
(ユータン!今だ!全員にトドメを刺せ!)
敵に見られていないユータンの動きは圧巻だ。
目にも止まらぬ速さで的確に急所を斬りつけていく。
たった数分の連携で、俺たちは無傷でゴブリン十体を葬った。
「おーい!みんなスゴかったのよ!お疲れ様なのよっ!」
「サンキューな!ミズナ!俺の注意の引き方、ナイスだったろ?」
「ヒルク君のお陰でやりやすかったわ〜。」
ミズナの掛け声でみんなが集まってきた。
みんな満足げな表情で、いい顔をしている。
「よっし!じゃあエスポワールに戻ろう!
連戦になると思うけど、まだまだ頑張ろうぜ!」
「「「「おーー!!!」」」」
俺たちパーティはこの後も空中からゴブリンを見つけ次第討伐していった。
今日一日で、五十体くらいは倒せたと思う。
そして、暗くなってきた所で、就寝の準備を始める。
「今日はみんなお疲れさんっ!初日だったけどかなり上出来だと思うぜ!」
「ホントなのよ!今まで毎日一体ずつ倒してたのが嘘みたいなのよっ!」
「サヤカ様が加わってくれて、一気に戦力上がったよな!」
「私なんて全然よ〜!
あっ、そろそろシャワー浴びて寝なきゃよね!
なんか修学旅行みたいで楽しくなっちゃうけど、明日も朝から討伐しなきゃだもんね〜。」
「サヤカ様、シューガクリョコーとはなんですか?」
「あら、今はやっぱり無くなっちゃってるのね。
修学旅行って言うのは、学校のお友達とお泊まりでお出かけする事よ!」
「昔はそんなイベントがあったのかい!盛り上がること間違いなしさねぇ!」
こんな感じで初めて夜中まで五人で一緒だったので、やはり盛り上がること間違いなかったのである...。
・・・・・・・・・・・・・・・
それから三週間は経った。
俺たちは毎日百体近くのゴブリンを討伐していた。
初めは人間界の周囲を中心に索敵していたが、ゴブリンの数は徐々に減っていき、かなり遠くまで来れるようになっていた。
毎日ゴブリン百体討伐生活が変わり映えのしない日常と化していた。
「おい!相棒!またゴブリンの群れを見つけたぜ!
俺ってば見つけんのウメェんだよなぁ!」
「アンタ見つけんの上手いよねぇ。ウチ多分一番下手かも...。
でも、コウ。あそこ湿地帯みたいだけど、着陸は大丈夫そうかい?」
「そうだな、ゴブリンは見失わないようにしつつ、離れた場所に降りるしかないな。
ヒルク、ギリギリまでゴブリンの行方を目で追っててくれ。」
「任せとけっ!」
生い茂っている草木を避けるようにエスポワールを湿地帯の端に着陸させ、急いでゴブリンの方角へ向かった。
「相棒!さっきのゴブリン見つけたぜ!」
「でかした!霧が濃いのによく見つけたな。
じゃあ、ここからは能力で指示を伝える!」
そう言うと、みんなは冷静に戦闘体制に入った。
(みんな、足場はぬかるんでるし視界も悪い、お互いの姿が見える距離感を意識して...、)
そう伝えた瞬間、うっそうとした森の中からしなやかな影が宙を舞った。
気づいた時には、目の前に魔族と思しき少女の姿があった。
妖艶な笑みを浮かべ、こちらを見つめている。
「あはっ、見ぃつけた♡
アナタ、人間とパーティを組んでるって噂のザコ魔族だよね?♡
ざぁんねん。ボク好みのイケメンだけどぉ、跡形もなく消してあげるにゃん♡」
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