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【書籍化決定!】【R15版】変態リケジョちゃんは追放魔族の“珍(ちん)”な部分に興味があるようです。  作者: 真星 紗夜


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17.魔王の計略。


 お昼のパスタは初めて店内で食べたが、いつも通り美味しかった。

 だか、やはり朝の母さんの手料理は最高だったなと思ってしまった。


 みんなで腹をパンパンにさせてエアカーの所へ戻ってきた。


「さぁて、誰から運転しよっか?やりたい人がいないなら俺がテキトーに決めちまうぞ。」


「おいコウ。悪い事は言わねぇから姉貴だけはやめとけよ。せっかくのエアカーがどうなっても知らねぇぞ?」


「そうはいかねぇよ。みんなで順番に運転するって決めたんだ。

 まあ、そんな簡単に壊れたりしねぇって。」

 

 俺は地面にアミダクジを書いてやった。


「よし!じゃあみんな好きな所に名前を書いてくれ!」


 へへっ、書いた俺は分かってんだ。

 真っ先に五番目を選ばせてもらうぜ。


「みんな書いたな。まず一番目から辿っていくぞ。

 ...えーっと、こう来てこう来て...。

 はい、ユータンです。」


「おっ、最初はウチかい?任せなね!」


 チュドーーン!


 爆発音と共に黒焦げのユータンが運転席から出てきた。


 えええええーーー!!

 

 ...とりあえず無事みたいだし、火耐性は抜群だな。

 ゴブリンの火炎熱波は任せられそうだ。


「姉貴っ!大丈夫かよ?言わんこっちゃないぜ...。」


「次はアタシなのよー!それっ!」


「ミズナ、いつの間にっ!しかも次は母さんだぞっ!

 アミダクジの見方分かってないだろっ!

 ...って、え?爆発した直後なのに動くのかっ!」


 ミズナが運転するエアカーは空に浮かんでいた。

 近場を一回りして庭に戻ってくる。


 初めて見る空飛ぶ車に、母さんはテンションが上がっていた。


「ミズナちゃん凄いわ!バッチリじゃない!」


「エヘヘ、マニュアル読んだら意外と簡単だったのよ。しかも、自動修復システムも働いてたみたいで、ユータンの爆発では壊れてなかったのよ!」


「流石だなミズナ。エアカーもどんでもなく高性能みたいだ。じゃあ次は母さんだ!」


「よしっ!お母さん頑張っちゃうわ!」


 運転席に乗り込む母さん。

 しかし、エアカーは浮くどころか、どんどん地面に埋もれていく。


「ちょ!サヤカさんっ!逆!逆なのよ!

 千年前のコウの注射の時もそうだったみたいだけど、逆なのよぉぉ!」


「ミズナ、それイジるなよぉぉ!!俺だって火炎熱波使いたかったよぉぉ!!

 おい母さん!エアカーどんどん埋まってるぞ!ストップ!ストップゥゥゥ!!」


 しばらく沈むとエアカーは止まった。


「私、空飛べてたかしら?」


「飛べてねーよ!現に今もエアカー地面に半分埋もれてるだろ!ったく。

 じゃあ次はヒルクだ。」


「やっと俺の時代だな!任せとけっ!」


 運転席に乗り込むヒルク。

 が、しばらく経ってもエアカーは動かない。

 様子を見に行こうとすると、ヒルクが満足そうな顔で戻って来た。


「運転席に残っていたサヤカ様の温もりを感じていました...。」


 コイツは論外だった...。


「じゃあ、最後は俺だな。行ってくる。」


「コウー!今のところアタシしかまともに動かせてないから頑張るのよっ!」


 運転席は広々としており、ボタンやレバーも思っていたよりシンプルで簡単そうだ。

 

「こいつ...動くぞ!」


 地面に埋もれていたエアカーを一気に上昇させ、そのまま森へ向かって進んだ。

 かなりスピードが出て楽しくなってきた所だが、みんな待ってるしこの辺で帰るか。


 俺は庭に着陸させ、みんなのところへ向かう。


「なんだよ、めちゃくちゃ簡単だし、楽しかったぞ!

 まだ夕飯まで時間あるし、後ろ乗ってもいいぜ?」


 この後、めちゃくちゃドライブした。


・・・・・・・・・・・・・・・


  一方その頃、魔王城では魔王と裁判長が密談をしていた。


「なぁ、裁判長。最近はここジャポルネに辿り着く魔族も増えて来たよな。」


「そうじゃの、魔王よ。

 ワシが氷の大地に仕掛けた帰巣本能を活性化させる装置がしっかり働いとる証拠じゃわい。」


「うん。助かっているよ。

 でだ、今は魔界の外にゴブリン討伐兵団の五人しか送り込んでいないが、最近辿り着いた優秀な魔族を追加で送ることにするよ。」


「ほう?それは何ゆえに?

 現状は間に合っとるはずじゃろう?」


「人間界の偵察に行かせているあの魔族が、電話で情報を教えてくれてね。」


「あの魔族とは、カメレオンを継承しているあの女ですかい?」


「ああ、そうだ。

 どうやら私が追放した魔族二人が上手いことやってるみたいでね、人間とパーティを組んで魔界に攻め込んで来るらしい。」


「なんと!それは由々しき事態じゃの。

 それでゴブリン討伐とは別に、人間のパーティに対抗でき得る強力な動物の能力を継承した魔族を送るという訳ですな?」


 その時、部屋のドアからノックの音がする。

 それはトップの兵団を抜けて魔界に戻って来たジェイだった。


「失礼いたします。ゴブリン討伐兵団のジェイです。

 本日は魔王さまにお伝えしたい事があって馳せ参じました。」


「ジェイか、入れ。

 トップたちはどうしたんだい?」


「ええ。恐れながら申し上げますが、我々兵団は団長の無謀な指揮によって統率力を失い、壊滅したんです。

 みんなバラバラになってしまいましたが、魔王城に戻って来るとは思いますよ。」


「いずれこうなる事は予想していたが、仕方ない。

 お前には別の任務をやる。」


「何なりとお申し付けください。」


「ジェイ。お前の独断で構わん、最近ジャポルネに辿り着いた強力な魔族を探し出し、ゴブリン地帯に派遣させてくれ。

 目的は、人間パーティの殲滅だ。」


「強力な魔族、というのは強力な動物の能力の継承が行われた魔族という意味でしょうか?

 ...あー、いえ、先ほど裁判長の話を聞いてしまいましてね。

 継承とは何のことなんですか?」


「ジェイ。お前は知らなくていい事だ。

 何も考えずに任務に集中してくれ。」


「承知いたしました。では、失礼いたします。」


「ワシも失礼するかの。」


 部屋に独りになった魔王はつぶやく。


「コウ。君がこの程度の試練を乗り越えてくれなければ、私の計画は完成しない。期待しているよ...。」


・・・・・・・・・・・・・・・


 話は就寝前のミズナの家に戻る。

 ドライブの後、ヒルクとユータンは自分の家に帰っていた。


「そういや、ミズナ。

 昨日は何か新しい装置を作るとかって言ってたけど、もうできたのか?」


「うん!バッチリ完成したのよっ!

 ただ、問題があるとしたら、今のコウの心理状態なのよ。」


「ん?どういう事だ?」


「説明するより、やってもらった方が早いかもなのよっ!

 ちょっとアタシの部屋に来てもらってもいい?」


 俺は言われるがままミズナの部屋に入った。


「えっとね〜、昨日はこのヘルメット作ってたのよ。

 ちょっと被ってみて欲しいのよ!」


「ああ、わかった。

 被るとどうなるんだ?」


「コウ似合ってる〜!可愛いっ!

 けど、やっぱり今はダメみたいなのよ。

 コウ、緊張してるでしょ?」


「そりゃ、明日から大仕事なんだ、誰だって緊張するだろ?」


「それはそうなのよ。

 実はアタシが作ったこのヘルメットはね、被った人の深部にある記憶を呼び起こす機械なのよ。

 ただ、使用するには条件があるのよ。

 脳がリラックスしてる事、ドーパミンが一定以上分泌されている事、これを満たさないとダメなのよ。」


「ドーパミンって?」


「ドーパミンって言うのは、気持ちい時に出ちゃうやつなのよ。」


「気持ちい時に出ちゃうって...。」


 ミズナは俺の目を見ると、すかさずビンタした。


「ちょ!コウ!何想像してるのよっ!!

 そっちじゃなくて、脳内に出る物質の事なのよ!


 とにかく!今は使うのは難しいから、帰ってきてから使ってあげるのよ。

 もしかしたらコウの記憶の中に、この世界の秘密を解き明かす重要なヒントがあるかもしれないのよ!

 コウさえ良ければだけど...。」


「いい記憶ばっかりじゃないと思うけど、ミズナの役に立てるなら喜んで協力するぜ。」


「コウゥ...、ありがとうなのよっ!」


 ミズナは俺の頬にキスをする。


 ...///


 あまりの衝撃に、俺の中のドーパミンが出てしまいそうになった。

 と、とにかく今は、動揺が伝わらないように振る舞うだけだ。

 

 「あ、明日からは本格的にゴブリン討伐だから、念入りに準備しとくんだぞっ!

 じゃ、もう俺寝るな。」


「アクアタンクの高出力モードもしっかり直しといたのよっ!いつでも出せるから任せてねっ!

 おやすみ!コウ〜!」


 母さんのイビキが聞こえるドアの前を通り、自室に戻った。

 

 いよいよ明日、俺たちパーティはそれぞれの思いを胸にゴブリン討伐に行くんだ。

 本当の戦いがいよいよ始まるんだ...。

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 ※作者は特級の声優ヲタです。キャラクターの脳内再生CVなど、お気軽に自由なコメント待ってます!

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