エピローグ
それは短期的な案ばかりしか出せて否からもう少し本格的な中長期の案を出そうとしていたところ。
まだ骨組み程度のものしか私は意見を出せていなかったところだったのだけど、
「子爵様。本国から、使者がこられました」
「使者?この時期に来たってことは、援軍かしら?」
「可能性はありますな。公国も帝国も動きにくい現状であれば、活動できる王国兵の活躍の機会は非常に多いはず」
予想外に人が増えることになった。
結構な兵数が来ているようで、私たちはそれを援軍だろうと予想。
公国の人達もほとんどは詳しいことを知らないようで私たちと同じ程度の認識らしいんだけど、まずは私が同じ国の人間という事もあるからなのか呼び出しを受けることになった。
この国での活動の報告と今後の連携などの話でもするのかと思いながら足を向けてみれば、
「子爵。勅命である。少し期日より前倒しになるが、そなたを公国援助の役目から解任する。即時帰国せよ」
「…………かしこまりました」
まさかの私、解任!?
かなり活躍とまではいかずとも貢献できていたと思うし、公国とも相性がいいと思っていたんだけど!?なんで急に!?
とは思った者の、とりあえず勅命だと言われれば断ることは不可能。
勅命って国王陛下からの指示ってことだからね。つまりは命令なの。逆らう権利なんて私は持っていないのよ。
関係者にこうした事情をすぐに説明して帰還の準備を急いで進めることになるわけなのだけど、さすがにこんなに急に変えることになるのは予定外だと周囲も慌てて、
「い、いったいどのような理由なのでしょう?」
「子爵には現在重要な作戦に関わってもらっているのですが」
「もう少し期間を先延ばしにすることはかないませんかな?」
「勅命ですので私の裁量ではどうにもなりません。理由に関しましては、何でも子爵の家も動く必要があるような戦争が起きる兆しがあるとか」
「む、むぅ。そうですか」
「本国での争いがあると言われるとこちらは引き留められませんな」
「あともう少しいていただけたなら確実に我々は戦況を更に変えられるようになると思うのですが」
「ご安心ください。子爵の代わりにこの私が皆様の支援に回りますので。連れてきた兵数も子爵以上。必ずや子爵以上の活躍をして見せましょう」
「さ、さようですか」
「もちろん期待しておりますとも」
「子爵以上と言われるのであれば心強いことこの上ないですなぁ」
引き世止めようとする動きはあったものの、私が戦地に行かなければならないという事を説明されると黙るしかない様子。
さすがに、私も本国の争いに参加せずこちらにいるわけにはいかないと理解しているのでしょう。
しかし、面倒な話ね。
今度はまた奇術公とかと争うことになるわけでしょ?しかも、帝国式の武装もなく、配下も今までのように王国の精鋭ではなく子爵家の私兵と言うグレードの落ちる者達を率いて。
短い期間ではあったけど、公国兵を指揮することもあっただけにかなり感覚の違いで苦しむことになりそうね。思わずそれができる技量を兵が持っていないというのに敵の指揮官めがけて突撃とか命令しそうで怖いわ。
「子爵!またどうぞお越しください!」
「エルグ殿。どうかお体にお気をつけて!」
「エルグ殿!またいつか共に酒を飲みかわしましょうぞ!!」
「子爵万歳!イーエブ王国万歳!」
「「「「万歳!万歳!!」」」」
多くの者に見送られながら、私たちは王国への帰路に就く。
ちなみに、来る時からずっと行動を共にしていた精鋭たちも一緒よ。どうやら同じように帰るみたい。私と違って、特に戦地に行かなければならない理由もないと思うんだけどね。どちらかと言えば帝国式の装備があるわけだしそれを学んできた方が王国のためになると思うのだけど。
それは私たちの代わりに来た者たちが受け継ぐという事になるのかしら?
ちなみに、見送られるときに私よりもエルグの方に声をかける人が多かったり好感度が高めだったりしたことは若干引っかかったわ。
私は確かにお酒を一緒に誰かと飲むとかはしなかったけど、結構公国に貢献したと思うのだけど。
そんな不満を抱えながら帰国すると、そのまま王城まで行って報告をすることになり、
「…………まことに大儀であった」
何故か不満げな顔をする国王陛下に向か家入れられることになる。
ここで私は理解したのだけど、たぶん王国が想定していた以上に私が手柄を上げてしまったから急いで私の帰国を決めたのでしょうね。
思い返してみれば、公国に送られたのは私や派閥への嫌がらせが目的であったわけだし。
とはいえ、さすがに陛下も同盟国に貢献してそれなりに繋がりまで作った以上私たちを無下にすることもできない様子。
なんとビックリなことに、
「褒美としてパール子爵を陞爵し伯爵とする。以後、パール伯爵と名乗るように」
「ハッ!ありがたき幸せ!」
まさかの爵位アップ!
どうやら、相当公国から私を支持する声が届けられたみたい。
本当に国王陛下がいやいや、とても苦々しそうな顔をしながら告げてくれたわ。
くわえて物資なども貰い、ホクホク顔で帰る私。
話によるとまだそこまで戦争ムードにもなっていないらしく、戻らなければならないほど緊迫した状況と言うわけでもないらしい。
満面の笑みを浮かべて私は良い報告を今まで家の切り盛りをしてくれたローレンに会いに行ったところ、
「お疲れ様ですお嬢様。今すぐこちらの書類にサインをお願いします」
「え?何この量…………というか、凄い顔してるじゃない!?一切生気を感じないわよ!?体調悪いの!?」
「三日ほどまともに睡眠をとれておりませんので。しばらくお嬢様もこうなることをご覚悟ください」
「えぇ?」
出迎えてくれたのは、疲れ切った顔をしたローレン。
どうやら相当仕事が溜まっていて大変らしい。私は思わぬ弊害に一瞬気が遠くなる。
しかしそれでも何もしないでいられる時間もないという事で急いで仕事に取り掛かりつつ事情を尋ねて、
「実はですね。中立派のトップであられる伯爵様が南と北の貴族とつながって新たな交易ルートを作ると宣言されまして」
「は?」
「そこにお嬢様が公国にいい印象を持たれている事もあって中立派に対し好意的な西の貴族も参加を続々と表明。今やその規模は王国の中央を使用しないにもかかわらず、今までにない大規模なモノへと変貌を遂げているのです。当然ながら主導する伯爵様の次の立場という事に中立派においてはなっている我が家が様々な調整などを行なうことになっておりまして。仕事量が膨大なものとなっているのです」
「は、はぁぁ!!!???」
ふざけんなあの目立ちたがりがあああぁぁぁ!!!!
私がいないっていうのに中立派を振り回してるんじゃないよ!何で調整が大変だって気づかないのよ!いや、逆に私がいないから好き勝てできるとか思ったのかも?
何にしても、私も伯爵になって格は同じにあったわけだし、一発あの顔をぶん殴ってやるわ!
待ってろクソ伯爵ぅぅぅ!!!!
ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました
タイトルの割にあまり侵略らしい侵略ができていませんが、思想面の侵略とかそういうことで勘弁してください(土下座)
本当は奇術公との決着など書きたいものもあったのですが、いい加減年度末の忙しくなる時期に入りそうなのでここで完結とさせていただきます(いつの間にかコンテストの文字数オーバーしてるし
この作品が皆様にお楽しみいただけるものであったなら幸いです。ご愛読いただき誠にありがとうございました。
またお会いできる機会があれば幸いです。それでは、引き続き良いラノベライフをお過ごしください。
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