【38】【番外編】双生花樹
――――その日、サロンで寛いでいたらサロンに木が生え花が咲いた。
「タツキさま」
「タツキさま」
この前名を呼んでいいと告げれば喜んで呼んでくれるようになったが。
「私たち」
「ぼくたち」
『身体が欲しい』
「……あんだろ」
その木が。
「違う」
「違う」
「個々の身体」
「私たち、ふたりでひとつに融合したアルラウネ」
「けれどキナが言った」
「双子にも、個性がある!」
「そうだよ、タツ」
その時キナがフロルレゥールの後ろから現れる。
「ふたりの身体、一緒に考えてみた」
そしてキナが見せてきたスケッチブックには地球のアニメで見るような妖精の姿がある。
「大きさは130cm」
「小さすぎず、大きすぎず、なおかつカワイイ」
「まあお前らがいいんなら……この身体を造ればいいのか」
「そう言うこと」
「よろしく」
キナの描いた絵のような可愛らしい妖精がふたりの生まれる。
「私はフロル、姉」
金色の髪に緑の目、背中には妖精の羽根が生えている。
「ぼくはレゥール、妹」
緑の髪にイエローグリーンの目、背中には妖精の羽根が生えている。
「……まさかとは思いながら絵のまま創造したがレゥール。お前ぼくっ娘か」
「キナにも言われた。ぼくはぼくっ娘」
木に性別なんてないから気にしたことなかった。むしろ一方は男の子だと思っていた。
「まあいいか。俺も本体は世界樹だがこの姿だし」
「私たちもお揃い」
「ヴォレルお姉さまともお揃い」
「楽しいね」
「楽しいな」
ま、ふたりが喜んでいるのなら、主としても喜ばしい限りだ。
「この身体を持ったら」
「ご飯を食べられる」
思えば今までは木の姿だったから光合成で足りたのか。
「何食べる?」
「決まってる」
「そうだ、シュランガルが自慢してきた」
「カレー、食べたい!あの猛毒蛇め、ぼくたちだって……」
「喚びました?」
『ぎゃーっ!?猛毒蛇ーっ!』
息ぴったりなところは変わらんな。ふたりの後ろにはいつの間にかシュランガルが立っていた。
「こら、シュランガル。虐めちゃダメ」
「ソウが言うのなら」
シュランガルがソウに自身の蛇を纏わせる。
「タツキさまの半身」
「猛毒蛇がいつも独占。でもぼくたちには」
「私たちには」
『キナがいる』
「はいはい、姉さんに独占されないように気を付けてくださいね」
『ヴォレルお姉さまとはシェアするもん!』
いや、キナはシェアするもんじゃ……と、そうこうしていればキナが俺の前でもじもじしていた。
「じゃぁタツ、その。カレー、一緒に作って?カレー粉からって、よく分からなくて」
ま、フツーはルーだもんな。キナもキナスペシャルの時以外はルーカレーで作っていた。ソウとふたりで俺に作ってくれたことがあったが……懐かしいな。
「よし、いっちょ作るか」
「うん!」
その日はカレーの匂いに集まってきたみなでカレーパーティーとなったのだった。




