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【27】【番外編】女神と邪神と冥界の神



――――その後のダンジョン都市の話をしようか。ヴァンはこちらに暫くいたから、戦神や武神から女神を通じて聞いた話だ。


どうやら長年燻っていた盗賊などのパーティーを裏で手引きしていたのはスィーディーネだったらしい。

スィーディーネと言う魔女がいなくなった以上、犯罪組織はギルドの摘発によって次々と瓦解した。


――――とは言え暫くすれば、また湧いてくるだろうが。そこはダンジョン都市の腕の見せ所だな……?


あと、犯罪パーティーの親玉が魔女であったこと。これに対してはフローナが正式に声明を出した。スィーディーネは魔女協会がかつて追放したものであり、魔女協会は関与していないと。


魔帝国ならばそのトップが魔神だからフローナたちが関与なしと言えば落ち着くだろう。女神を一番に崇めるエーデルシュタイン王国も女神からの言葉に従って不用な魔女へのヘイトは行わないだろう。


しかし昔から荒れてきたあの国はどう出るか。それだけが懸念材料だな。


しかしいいこともあった。かつての水龍国のおとぎ話は間違いであり、水龍の民は侵略者から水龍を守るために戦ったことが知られて来ている。ダンジョンコアの生贄になったことなどは伏せられているが、彼女たちの名誉は復活した。ま、それがミラの願いなのだから。


まぁ、そんなわけで再びの平穏な時。ずずっとコーヒーを啜っていれば、ソウが首もとに抱き付いてきた。


「ん?どうした?」

「ねぇ、タツ。そう言えばこの前冥界の神さまの声を聞いたけど、女神さまみたいにここに遊びに来たりするの?」


「あー……それか。あんまり来ない。何せ出てくるにもエネルギーを消費する上に、女神に見つかると怒られる」

「どうして?」


「冥界の神は出てくるだけでも冥界の気をこの地上に放つんだ。でも俺の探湯沼(くがえ)を通せばまだまし。同じ闇を宿すものだからこそたまに間借りして湧いて出る」


探湯沼(くがえ)を共有……シュランガルたちとケンカしないの?」

ソウはシュランガルとも仲がいいから探湯沼(くがえ)を共有することも知ってるか。


「シュランガルは嫌がるが、冥界の神はシュランガルに構いたくて仕方がないらしい」

「え、何で?」


「蛇が好きらしくてな」

「俺と気が合いそう!」


「いや、ダメだダメ!アイツはダメ!」

【そんなことはないぞ、弟よ】


「誰が弟だ。お前の立ち位置めちゃくちゃ微妙だろ」

探湯沼(くがえ)は広げてないものの、足元にから沸き立つクガタチが出入りする小さな沼から声が響く。


「タツ、どういうこと?」

「冥界の神は創世神の半身……創世神が世界を作った際に抜け落ちた部分だからだ」


「抜け落ちた部分を再利用したの?」

「ぶ……っ、言い方言い方。しかしそうだな、再利用だ。創世神は冥界にも長が必要と考え、半身を自らの分身として神に召し抱えて冥界の神として治めさせたんだ」

「へぇ、仲良さそうだね」


「まあ喧嘩はしてねえよ。眷属神ではなく冥界の主神として採用し、互いに世界の均衡を保っている」


「うーん……創世神から抜け落ちたなら、どちらかと言えばタツの叔父みたいな感じ?」

「そうそう」

【でもお兄ちゃんでも良いぞ!】


「くどいっつーの」

「タツ、ツンデレ?」

「何故そうなる……」

しかしその時、冥界の神の気配を感じたのか、シュランガルがものっそい目ぇして飛び込んできた。

「無事ですかタツキさま!ソウ!」

「俺がいるんだから無事に決まってんだろ?」

……ったく、心配性なんだから。

普段から冥界の神は嫌がるものの俺をとられたくなくて威嚇するのだ。今回はソウもかな?


【おぉ、シュランガルや。我にその鱗を撫でさせてくれ】

「嫌に決まっているでしょう。私はタツキさまの眷属神ですから。私の鱗を撫でるのも椅子にするのもタツキさまだけの権利です。あ、ソウもいいですよ」

まーったく、シュランガルは相変わらず俺のこと大好きだなぁ~~。そしてソウのことも。今度ひっそりとした荒れ地で毒の沼作ってピクニックしながら椅子にしてあげようか?毒の沼にはソウは連れていけないからひっそりとした大人の会になるが。


「あと、ソウに妙なこと吹き込んでないでしょうね?」

シュランガルがサッとソウを抱きかかえる。


「シュランガル?」

ソウはいきなりのことで首を傾げるが……シュランガル、着実にソウに懐いているな。まぁ俺のソウを愛でるのは大賛成だが。


【ずるい……ずるいぞ……っ、同じ蛇好き仲間だと思ったのに、何で付き合いの長い我よりもシュランガルに懐かれてるううぅ――――――っ】

いや、勝手に蛇好き仲間に入れんなよ。


「俺は爬虫類全般好きだよ。でも今はシュランガルが一番カッコよくて好き」

「ソウったら……嬉しいですよ」


【ふぐ――――――――っ】

冥界の神があらぶっている。しょーっもないことで。そろそ帰ってくんないかな。あ……そうだ。


「こらぁっ!アンタ!何で出てきてんの!」

【げっ、女神……っ!?何故もう来た!】

俺が呼んでおいた。


「はぁ……はぁ……冥界の神よ……久しいなぁ……?」

【おや、オーテオン】

そう、第三席オーテオンも呼んでおいた。


「まあ、アンデッド遊びやらなぁい?キヒーヒッヒッヒッ」

【それはよい!遊ぶぞっ!】

「イヒーッヒッヒッヒッ!では早速狂宴といこうかぁっ」


「やるのはいいけど、地上でやらないでちょうだいよ?」

女神の声に頷くように探湯沼(くがえ)の中から冥界の神の笑い声が響く。


「タツ、冥界の神は?」

「オーテオンと遊びに行った」

こう言う時はオーテオンのご機嫌次第では一緒に遊びに行くから追い払うのに便利なのだ。


さてと……俺はコーヒーのお代わりでもすっかな。


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