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第7話 ギャルちゃんはサボりたい

本屋のアルバイトをすることに。

早速初日、楓花ちゃんの元で教えてもらうことになった


「ぉはよ〜ふあ〜8時でいいっつったのに、なーんで30分前に来てんのさ」


『バイト楽しみでつい!』


「ふーん、嬉しいこと言ってくれるじゃん。んじゃあまず棚整理からやってくか〜」


楓花ちゃんの言われた通りに

まずジャンルに分けて

更に五十音順に並びわける

その次に入庫した本をそのジャンルにいれる

今日は量が少ないらしく、30分程度で済んだ

軽く外と中の掃除をしてそして9時には開店

という流れだった


「ね?案外簡単っしょ。うちでも出来るくらいだし、すぐ慣れるよ」


『うん!ありがとう!』


「どいたま、いつも一人でやってるのを今日は二人だし、柊奈は休憩してくれば?」


『まだ1時間しか働いてないよ!?』


「いや真面目かよ。1時間も、働いたんだからいーの。つかうちもサボりたいし、クルクル休憩回そ」


半ば強制的に部屋の中に入れられ

私はポカンとしたまま椅子に座る

な、なんだかむずがゆい

今日は楓花ちゃんしかいないし

本当にこんな感じで時間が過ぎそう

休憩といっても何もすることがなく

ポケーとしてるとバックから仁ちゃんが顔を出した


「やれやれ、貴様には勿体ないレベルの場所じゃな」


『うん、本当にいいのかな、これで』


「客も少ないし、いいのではないか?」


まあ、仁ちゃんもそういうなら…

と10分ほどゆっくりしてから部屋を出ると

楓花ちゃんはダレてる顔で「しゃーせー」と雑な挨拶してる

あ、あんな風にはならないようにしよう


「うわ、帰ってくんの早」


『休憩してもすることなくて』


「こりゃうちがずっとサボっても何とかなる逸材きたか〜?」


『ちゃんと楓花ちゃんも働くの!』


「前言撤回、大ハズレだった」


『ひどい!誘ったのは楓花ちゃんなのに!( ・̆༥・̆ )プンプン』


「冗談だよ、頬ふくらませちゃって、可愛いかよ。会計の仕方教えるから、こっち来て」


ケラケラ笑いながら手招きして

私をレジの椅子に座らせる

あれ?次楓花ちゃんが休憩なんじゃ?

と思ったけど


髪の毛が頬に触れるくらいの距離感で

「ここがバーコードで〜んで、反応しなかったらここの数字をパソコンに打って〜」

とふんわり爽やかなフルーティの匂いがする

ピーチみたいな、そんな匂いだ

あれ、意外と清楚系の匂い……?


な、なんだかドキドキする

髪の毛当たってくすぐったいし

なにより楓花ちゃん美人だから意識しちゃう


「どったの、めっちゃ上の空じゃん」


ほひゃ!と驚いた声を出そうになって

強めの吐息だけ出る

「驚いたんだろーけど、そんな感じになるんだ。ウケる」

とからかってくる


『楓花ちゃんが近くてドキドキしちゃった……』


その文字を読んで

一気に楓花ちゃんの顔が赤くなる


「は、ちょっ、はぁ!?何言ってんの!?」


楓花ちゃんの声が3トーンくらい高くなって

バシッバシッと私の頭を叩く


『いた、痛いよ、本当だもん、楓花ちゃん美人だし』


「ちょ、ほんとにやめろし!なに?うちギャルでちょろそうだから口説こう的な?うち、そんなに尻軽じゃないから!」


『そんな事思ってないよ!本当に可愛くて美人で優しくて大好き!』


「だっ!?大好きとか、そんな簡単にゆーなし!」


『ほんとうだよぉ〜!』


ちょっとした口論になったけど

帰ってきた楓花ちゃんのお母さんに「本屋ではお静かに、ね?」と止められ

その日のバイトは終わってしまった

なんか誤解されたままな気がするけど……


「幽霊と人形とギャルを虜にするとは恐ろしい娘よ

という仁ちゃんの言葉の真意は

分からないままだった

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