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第6話 ギャルちゃんはサボり仲間が欲しい

[コンビニにて]


「あのね〜うち接客と仕入れあるけど。仕入れ専用とかいらないんだよね」


[警備業にて]


「無線も使えないし、女の子一人に任せるレベルの警備なんてまともに取れないよ、帰った帰った」


[建設業にて]


「いやいや、女の子が重労働とか無理でしょ、もっと楽なとこ行きな」



数時間後……

な、中々取れない……

やっぱり喋れない、というのが完全に重荷になってる

パソコンでできる仕事も考えたけど

私はワープロすらまともにやり方を知らない

そんな状態で入っても困らせるだけだしなぁ…


「ほら、言ったじゃろ?やはり声が出ないというのは、今の時代も生きにくいのじゃな」


カバンの中から顔だけ出した仁ちゃんが

呆れたように言ってくる

うぅ、甘く見てた、せっかくバスで1時間かけて街まで来たのに……


街中の隅っこにうずくまり

人混みの多さに少し吐き気を感じてると


「ねぇ、あんた大丈夫?」


金髪のギャルっぽい女の子が

飴玉を舐めながらこちらの顔を覗いていた

私は慌てて立ち上がって

大丈夫だとコクコク激しく頷いた

い、田舎のギャルなんて何してくるか分からない……!


「ならいいけど、倒れそうなら肩貸すよ?」


あ、あれ?優しい人?


「どしたん、そんな見つめられてもなんも出ないよ」


ギャル、というよりダウナー寄りの低めの声で話してくれる女の子

私はすかさず携帯を取りだして

『実はバイトことごとく落ちちゃって、へこんでたんです』

と見せた


「え、なに、なんでスマホで会話?」


『あ、その、私、声が出せなくて』


「あーね、理解理解、ここ暑いし、休憩出来るとこ近いからさ、話聞いてあげるよ。あ、話せねえんだった」


『本当に?ありがとうございます!』


嬉しくて女の子についていくあいだ

彼女が私の一個年上の高校二年生だってこと

バイトは偏見が入ること多いから、自分も髪だけで不採用になったことがある

など、色々話してくれた


私は文字を打って会話をしようとすると

「あーいいよ、歩きスマホ危ないし、話聞いてくれるだけでいいからさ」

とまで言ってくれた

この子、優しい……

初見で偏見を持った私をぶん殴りたい



「つかさ、何その人形、日本人形だよね?うち初めて見たかも。ウケる、リボンとかあんたのコーデ?」


バックの中にいた仁ちゃんを取り出し

今日の朝、色々着飾した仁ちゃんを色んな角度から見渡す

中学の頃、これを持ってると不気味って言われがちだったんだけど

ウケるで済まされるんだ……?


「めちゃかわじゃん、人形もなんか嬉しそう」


そうかな?そうかも、そうだといいな

「あ、着いたよ」と女の子が指さした先は

少し小さめの本屋だった

「ただまー」と女の子が声をかけ

おばちゃん店員が「あらおかえり楓花(ふうか)ちゃん」と笑顔で出迎えてくれた


「あら今日はお友達連れてきたの?」


「んー……まあそれでいいや、そこの椅子借りるよ」


流されるまま、読書スペースの場所に座らされ

麦茶とせんべいが出される

周りを見渡すとぽつぽつと人がいて、立ち読みしてたり

テスト勉強してそうな中学生がいたりと

なんだか和やかでいい雰囲気の場所だった


というか、友達って言ってくれた!

ギャルって出会って数時間で友達って言ってくれるんだ……!


「ここ、うちん家、あれ母さんね」


『そんな気がしました!いい雰囲気の場所ですね!』


「でしょ?あんたならこの良さわかると思った。せっかくだからさ、うちの店でバイトすれば?」


思ってもない提案で思わず麦茶を吹き出しそうになる

え、いいの!?


「母さんと、うちだけで回してたんだけど、中々人員募集する暇なくてさ、正直、真面目な子が来てくれるとうちも助かるんだわー、悪くない話っしょ?」


『も、勿論!いい話なんですけど、私、喋れないんですけど大丈夫なんですか?』


「あーいんじゃね?あんたがいるときは、うちがサポート入りゃいいし、つーか喋る必要ほぼないしね。本棚整理と金額さえ覚えりゃ後は楽勝だしね」


は、話が上手くいきすぎて逆についていけない

どうしてここまでしてくれるんだろう


『ぜひやりたいんですけど、どうして私にそこまでしてくれるんですか?』


「あーーー…………勘?」


ギャルの勘、恐るべし


『じゃあお願いします!高津柊奈です!よろしくお願いします!』


「かしこまりすぎでしょ、うちは佐々木楓花(ささきふうか)。楓花でいいし、タメ語でいいよ」


『うん!ありがとう!楓花ちゃん!』

プロフィール

佐々木 楓花

高校二年生 身長163センチ

金髪、肩にかかるくらいの長さ


ダルい、ウケる、やば、などが口癖な

典型的なギャル

かなりダウナーで声も低く

まともに女子らしい声を聞いたものはいないという

剣道部に入っており、その合間に家の本屋の手伝いもする多忙な子

見た目だけで不真面目だと認定されることが多いが

本人は至って真面目で

困った子を見つけるとすぐに本屋に連れ込み

せんべいと麦茶を出してくれる優しい子

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