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第10話 泥棒さんはお宝を返したい

泥棒狐、と自称している泥棒さんは

ここ最近1年で、土地の主や権力者から

盗みを働いていたり

店の殆どから盗みを働いては

数日後には返ってくるという

少し変な行動をしている

田舎すぎて監視カメラがない店も多いこの地域では

その泥棒の姿すらまともに見れていないという


「うちの店なんて、対象外かと思ったわ〜しくじった」


『え、でも戸締りちゃんとしてたよね!?』


「んまあうちの鍵ガタついてるからなぁ〜強引にやろうと思えば行ける」


そ、そんな……

でも、その噂が本当なら

商品は帰ってくるってことだよね


『ここで今日張り込みして、本を返しにくる泥棒さんを捕まえてみない!?』


「なんそれ、ちょっとおもろそう。でもどーすんの?」


『私にいい案があるよ!』


ここの店から盗まれた時間は誰もいない深夜

ということは今日私たちは働きつつも

明らかに警戒体制を薄くする

きっと泥棒さんは余裕もって姿を現すはず!


「なるほ〜やってみっか」


ということで程々に客対応しながらも

レジは頻繁に席を開けたり

休憩を多めにいれて明らかに人の目が少ないよう演じてみた


楓花ちゃんが休憩してる間

私も少しレジでうたた(フリ)してると

「え、何これ、隙だらけじゃん……」

とボソッと呟いた声が聞こえた

思わず顔を上げそうになったけど

うたた寝のふりを続行した


少しずつ足音が近くなり

レジの机になにか置かれた音がし

私はすぐにその腕を掴んだ

捕まえた!!!


「うわ゛ぁ!!!?びっっくりした」


幽霊さんにも劣らないほどの高身長の女性が立ってた

フードを被っていて顔はよくみえないけど

机に置いてあった本は盗まれた本なのはすぐに分かった


「はっはーん?やるね君。うたた寝のふりだなんてさ」


あ、やばい

泥棒さんの腕を掴んだせいで

楓花ちゃんを呼ぶ方法も

観念しろ!とか喋る方法もない


「……あのさ、なんでずっと無言なの?ここはかかったなー!とか捕まえたー!とか言うべきじゃない?」


私は口パクで何とか喋れないことを伝えようとすると

泥棒さんは掴まれてない方の手で

『もしかして、声、聞こえない?』と手話をしてきた


え、凄い!手話できる人初めて見た!

私は首を横に振って違うことを主張する


「あー、じゃあ喋れない感じか。大丈夫だよお嬢ちゃん。あたし逃げる気ないからさ」


確かに、腕を掴んでから

これといった抵抗を見せない

でもこれで離した瞬間に…ってのもあるよなぁ

と思ってると、掴まれたまま話を始めてきた


「ここの本屋の雰囲気、結構いいよね。防犯のためとはいえ、盗むの躊躇したよ〜」


躊躇した…?


「知ってるかもしれないけど。ここの地域ってね、犯罪率がけっこー高いんだって。権力ある奴は全然対処しないからさ。こうやって返しにきても捕まることほとんど無かったんだよね、君が初めてだよ」


笑顔でそう話す泥棒さんに

嘘、偽りはなさそうだった

私は手を離し、スマホを取り出して

『強く掴んじゃってごめんなさい、痛くないですか?』と謝った


「あはは!今の話本当だと思ったの?素直な子だね」


息がかかるくらい顔を近づけられて

耳元に囁かれる

少しドキッとした隙を狙われ


「詐欺師には気をつけなよ!お嬢〜ちゃん♪」


とデコピンして逃げていってしまった

……騙された!!?


「柊奈〜?なんか話し声したけど、どしたん?」


『泥棒さんに逃げられた〜!(´;ω;`)』


「え、まじ?うわーあんたが助けを呼べないの忘れてたわ。今度なんか呼び鈴みたいなの買わないと……怪我ない?」


『大丈夫、むしろ優しそうな人だったよ』


「いやいや、犯罪者は犯罪者だから」


……そうかな

あの話自体が嘘とは到底思えないし……

泥棒さん、どこかで会えたら

また話聞いてみたいな

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