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王宮の広間は朝の柔らかな光に包まれていた。

だが、静かな空気の中に張り詰めた緊張感が漂っていた。


王子ダレンは窓際に立ち、外の庭園を見つめながら深く息をついた。

彼の胸中は、まだ完全には晴れていなかった。


あの日、自分がジュリエットに向けた言葉――婚約破棄。

あの冷たい決断は、チャームの魔法の影響下にあったとはいえ、決して消せるものではなかった。

「許されるわけがない」

彼の心に、ジュリエットの厳しい視線と涙が焼き付いていた。


「俺は…間違っていた」

ダレンは低く呟いた。


混乱していた自分に後悔が募り、胸が締め付けられる。

チャームの魔法から完全に解放され、本来の心が戻った今、彼が一番恐れているのはジュリエットの許しを得られないことだった。


「どうすれば、彼女の心を取り戻せるのか」

考えれば考えるほど、答えは遠のくばかりだった。


そんな中、広間の扉が静かに開き、ジュリエットが入ってきた。

白いドレスの裾を引きながら、彼女はゆっくりと近づき、ダレンの前に立った。


「あなたが婚約破棄を言い出した時、私は深く傷つきました」

彼女の声は震え、時に涙が溢れそうになる。


「私たちはずっと未来を誓い合ってきたのに、まるで一瞬で消えてしまう約束のように感じた」


ダレンはその言葉に胸を締め付けられた。

「ジュリエット…」

「俺は、君を傷つけてしまった」


彼はゆっくりと彼女の手を取り、真剣なまなざしを向ける。

「チャームの魔法に惑わされ、君を裏切ってしまった。だが、もうそれは終わった」


「俺の本当の気持ちは、変わらない」

「君を選び、君と共に歩みたい」


ジュリエットの瞳は揺れ、戸惑いと悲しみが混ざったまま見つめ返す。


「簡単には許せない」

彼女は小さく呟いた。


「でも、あなたの誠意を信じたい」

涙がこぼれ、頬を伝った。


ダレンはその涙を拭いながら、強く決意した。

「これからは何があっても、君を守り、共に国を導く」


「俺たちの絆を、もう二度と壊させはしない」


ジュリエットは少しだけ微笑み、手を強く握り返した。

「信じています」


その瞬間、広間に二人だけの静かな約束が結ばれた。


だが、この許しはまだ始まりに過ぎなかった。


ダレンは心に誓った。

「絶対に彼女を裏切らない。俺は、本当の自分を取り戻したのだ」


そして彼は、ゆっくりとジュリエットの手を握り締めながら、未来への一歩を踏み出したのだった。

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