第九話
結構時間が空いてしまいました、すみません。
なんか謝ってばかりですね・・・。
謝ることが無くなるようにしたいですね。
「何でいるんだ?こんなところに」
前に立っていたのはいとこの古沢鈴だった。
いまさらだが、母さんの名前は亜美だ。
「亜美さん、甲斐君に言ってくれなかったんですか?」
「忘れてたのよ。」
なんか、状況が飲み込めないのだが・・・。
そのとき、俺の袖をくいくいっと由香里が引っ張ってきた。
「ねぇ、あれ誰?浮気?浮気なの?」
うわぁ、普段じゃありえないくらい殺気立ってますよ?
「い、いやあれはだな・・・」
あれが説明しようとすると、鈴がお辞儀をして、
「甲斐君のいとこで古沢鈴といいます。えっと、中学二年です」
すると由香里も向き直り、
「甲斐君の彼女でこの家に住まわせてもらっている秋野由香里です」
「えー!?甲斐君に彼女で来たの!?いがーい!」
「以外は余計だ・・・はぁ、それより、なぜお前がここにいる?」
俺はため息をつき聞くと、
「えっとね、学校がね改築工事とかで、二週間休みになったの、それで、ちょうどママたちは旅行でいないから学校が始まるまで、お世話になることにしたの」
なるほど、学校もないし、旅行でいないから預かってもらおうってことだな?鈴ママめ・・・。まぁ、由香里の誤解も解けたし、いいか。
「言おうと思ってて忘れてたのよねー」
「母さん、そういう大事なことは早く言おうよ・・・」
ごめんごめんと母さんは言って、
「じゃあ鈴ちゃん、いつもの部屋を使ってね」
「え?でも甲斐君の彼女さんがいるんじゃ・・・?」
やばい、いっしょの部屋で寝泊りしているのがバレる・・・!
「いやねー、こっちの部屋にしなさいって言ったんだけど、甲斐の部屋がいいって言ってねー」
さらっとばらしますね!?あなたという人は!!
「腹減ったんだけど?」
気がつくと俺たちはまだ玄関にいた。
「あ、そうね、忘れてたわ」
こうして何とか深くは追求されないですむだろう。
「由香里さんってお料理上手なんですね!!」
由香里の作った飯を食べながら鈴は絶賛していた。
「あ、ありがとう・・・・」
由香里も照れくさそうにしていた。
「あ~あ、私もいつかこんな風に好きな人に美味しいご飯作ってあげたいなぁ」
鈴は遠くを見るような感じでつぶやく。
「大丈夫よ~、鈴ちゃんかわいいし、彼氏なんていくらでもつくれるわよ」
鈴はにぱ~っと笑って、
「ありがとうございます!」
といって笑っていた。
「じゃ、俺寝るわ、明日早いし、なんでも学校全体でテストやるんだってさ」
「お昼いるの?」
母さんが小首を傾げて聞いてきた。
「ああ、部活があるしね」
そういって部屋へ行こうとすると、
「ねぇねぇ、部活見に行っていい?」
鈴がきらきらと目を輝かしている。
「俺の部活か?」
「当然、そうだよ?」
あはっと鈴スマイルを向けてくる。
「まぁ、見るだけならいいんじゃないか?部活見学ってことで」
俺がこう答えると、
「やったー!!」
といって、何がうれしいのやら喜んでいた。
「じゃ、おやすみ」
俺が言うとつづいて由香里が、
「おやすみなさい」
といって俺の部屋へ入ってきた。
「あんな気軽にいいの?」
布団に入るなり、由香里は疑問の念をぶつけてきた。
「さぁ、ただあいつが駄々こねると明日部屋の掃除で一日つぶれるからなぁ」
俺がさらっと言うと、由香里は、
「大変ね・・・」
といって、目を閉じてしまった。
「おやすみ、由香里」
俺も目を閉じる。
「おやすみなさい」
といって由香里が俺の胸に顔をうずめてきた。
そして、二人とも眠りについた。
~翌日~
ドタドタドタッ、ガチャ!!
なんだ、騒がしいな・・・。そう思いつつ、体を起こすと、
ドスン!!
なにか逆の強い衝撃で押し倒された。
「いってぇ・・・、またかよ、今度はなん・・・おぉ!?」
その乗っかってきた物、というか、奴を見ると鈴だった。
そこまでは、昨日の由香里と一緒であるが、格好が違った。
「な、おまえっ!!なんつう格好してんだ!!」
「えへへ、亜美さんがこういう格好のほうがいいっていうんだもん」
その格好は、ネグリジェ。
「だからってそんな格好でのっかんな!!」
俺が必死で抗議していると、
「ん、なに・・・もう朝・・・あ・・・」
由香里がおきてしまった。最悪のタイミングだ。
「ねぇ・・・、なにやってるの?説明願がほしい・・・」
「あ、いや、これは!!」
ああ!!凄い殺気!!肌がぴりぴりします!!
「あ、おはようございます!!これはですね、亜美さんがこうすると甲斐君が喜ぶそうなんで、やってました!!」
由香里の殺気を知ってか知らずか、危険ワードを出しやがった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「由香里・・・・?」
黙っている由香里におそるおそる声をかけると、
「負けない」
そう言ったかと思うと、服を脱ぎ始めた。
「いや、ちょっ、由香里早まるな!!」
「甲斐君が喜ぶのなら私もする」
「なんか意味分かんねぇこといってる!!」
俺は必死で目をつぶってこらえる。あひぃ、胸が、胸が・・・!!
「ほら、由香里!!お弁当は!?」
俺は何とか離そうとした、したのだが、
「今日はもう作ってある、今は二度寝」
ああ、なぜこんなときに限って・・・
「あなた達――!!今日は早いんでしょ?早くしないと遅れるわよーー?」
下から母さん、いや、すべての元凶が呼んでいる。
「あ、本当ね。じゃあ、起きなきゃ」
やっと離れて安心していると、些細な疑問が生まれた。
「そういえばお前、学校の場所わかるのか?」
昨日学校に来るやら来ないやら話してたが、鈴は学校の場所は知らないはずだ。
「ん~ん、わからないよ?」
「じゃあどうやって来るんだ?」
まさかと、いやな予感がした。
「甲斐君と同行しま~す!」
的中だった。
「あのなぁ・・・。テストだって言っただろ?」
「だからぁー、あたしも受けるの」
なにいってんだこいつ、うわあ、目がマジだ。
「はぁ・・・、わかった。ただしテストは受けなくていいから」
「なんで~?」
きょとんとしている。
「何でってお前、高校のテストだしおまえは部屋にいるだけ」
鈴はまだむぅーとか言ってたが無視だ。
『いってきます』
「はい、いってらっしゃい。」
「おっす、甲斐、おはよ・・・およ?」
「あ、甲斐、おは・・・んん?」
向こうから慶太と長閑が来て不思議そうな顔をした。
「ああ、おはよう。えーっと、こいつはだな・・・」
説明しようとした瞬間、
「おはようございます!!甲斐君のいとこで、古沢鈴といいます!」
『あ、お、おはようございます・・・』
慶太と長閑はおろおろしていた。ま、鈴のテンションは異常だからな。
「しかし、おまえにもこんなかわいい、いとこが居たんだな」
「ほんとかわいい~」
「いや~先輩ほどじゃないです////」
打ち解けるの早いな。ところで、
「由香里、もしかして拗ねてる?」
「そう・・・みえる?」
短い言葉を返してきただけで、ぷいっとそっぽをむいてしまった。
「いや、あれは事故だって・・・」
「んー?あ、ほら、あそこで夫婦喧嘩してるわよ?」
こら、長閑、余計な事いうな。
「ん~、どれどれ~?ありゃ本当だ、珍しい~」
「あ~、ほんとだ~」
そこ、乗るな。
「由香里さんは今、今朝あたしが甲斐君にちょっかい出したから嫉妬してるんです」
「うるさい、あれは事故だ」
由香里はまだそっぽを向いたままである。
「ん~、由香里、許してくれないかな?」
由香里はこっちを向いてじゃあ、と切り出した。
「じゃあ私のお願い聞いてくれる?」
俺は深く考えずうなずいた。
「じゃあ、キス・・・してくれたら許してあげる」
俺は顔が熱くなるのを感じた。横でおおっ!とかきゃー!とか生徒の声が聞こえたが、今はそれ所じゃない。
由香里は目を閉じ、薄く口を開けている、それにチョンッてなってる。
「いやっ!でもここ通学路だし、それに・・・」
「ん・・・」
ねだるように近づいて来る。
「く・・・、しかたない、じゃ、じゃあ、いくぞ?由香里・・・」
由香里はこくんと頷き、さらに近づいて俺のことを抱きしめた。俺も抱きしめる。
ゆっくり由香里の顔が近づいてくる。由香里の吐息が俺の頬をなでる、そのとき、
「ちゅ、ん・・・んぁ、んん」
唇が重なった。由香里の甘い吐息と得体の知れない感情が耐えられないほど感じられた。
「ん、ぷはっ、これで・・・いいか?」
「はぁ、はぁ、うん」
由香里はとろん、とした目で見てくる。こういうの弱いんだよなぁ。俺、あますぎね?
『おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!』
周りからもの凄い歓声が聞こえる、ってあれ?皆さん見てましたか?
気づくと周りを他の生徒が囲んでいる。
「由香里、なんかすごくはずかしいんだけど・・・」
唇は離れたとはいえ、俺たちは抱き合ったままだ。
「いいじゃない、もう少しこのまま・・・」
「もう少しって、あっ!時間は!?」
俺が叫んだとたん皆がはっとして公園の時計を見る、登校時間8:00。現在、7:56。
俺、由香里含め、全員全力ダッシュ。
その日は記録的な遅刻者数を誇ったという・・・何はともあれ、テストは終わった。
「やっとおわった~!!」
「そうだな、長かったな~」
俺と慶太は開放感を満喫していた。
「じゃあ、俺は、由香里と鈴が待ってるんで、剣道部行くから」
じゃーなー、といって俺たちは分かれた。
今回は結構長めに書いてみました。
最後まで読んでもらえたのなら幸いです。
これからもがんばります!!