対等な幸せ
はい、いつもとタイトルが違いますね。
番外編を書いてみようかなーと思ったんです・・・。
続きが思いつかないだけなんですけどね・・・すみません。
えー、どうも、北村甲斐です。
今からする話はだいたい約三年くらい前の出来事のはずなのですが
何故かぼんやりとしか思い出せません。
しかし今からするお話は、俺にとって、とても特別な出来事のお話です。
約三年前
「なあ、甲斐・・・なんて言ったら良いかわかんないけど・・・さ、仕方なかったんじゃないか?」
そう声を掛けてきたのは慶太だ。
「でも、俺は友達を守れなかったんだ・・・」
俺はこのころ傷心しきっていた・・・というよりも罪悪感が強かった。
あ、全然話の流れが読めませんでしたよね?すみません。
このときの俺は一人の友達を目の前で事故で亡くしたんです。
それで、目の前にいたのに、目の前で轢かれたのに、なんで助けられなかったんだと、自分を責めていたんです。
「そんなこと言ったってなお前、たしかにあいつが死んだのは悲しいし、事実だ。でも、お前のせいじゃない」
この時はみんなが励ましてくれたが、とてもじゃないが笑えなかった。
「でも、俺がもっと速く気づいて、飛び込んでいれば助かったかもしれないんだぞ!?」
「それでお前も死んだら、元も子もねえじゃねえか!!」
「でも、それでも!!」
俺はその時は割り切れないでいた。
「お前も死んだら、悲しむ人が増えるんだ!そこをもうちょっと考えろ!」
「・・・・・・」
慶太の言葉は俺の胸に深く突き刺さった気がした。
「じゃあ、俺こっちだから」
そう言って慶太は別れて行ってしまったが、俺は何も言わなかった。
俺は公園で慶太に言われたことを考えていた。
”お前も死んだら、悲しむ人が増えるんだ!”
「なんでだろうな・・・こんなに胸が痛むなんて・・・」
俺は、本当にあいつを助けられなかったのか?という疑念と、なぜだかわからないが、生きていることへの価値を考えていた。
「あいつは、何で死んだんだろうな・・・いいやつだったのに・・・。いい奴だったから悲しんでくれる人も多いのかな?俺はそんなやつを、なんで助けられなかったのかな・・・」
俺は今日言われたことの他にも慶太に言われたことを思い出していた。
”お前はあいつがい生きれなかった分までしっかり生きればいいじゃないか”
「しっかり生きろ・・・か」
そんなことを考えていると、一人の女の子が・・・俺と同じぐらいの年頃の人が立っていた。
暗くて顔はみえなかった。
「あの、だれですか?」
俺が聞くと女の子は少し考えるそぶりを見せながら口を開き、
「いえない・・・」
といって黙ってしまった。
「あの、なんで俺のことみてるの?」
沈黙が耐えきれなくなり思い切って話しかけてみた。
「・・・あなた、悲しそうだったから」
「ああ、気にしないでくれ・・・ただ考え込んでただけだから・・・」
「・・・そう」
また会話が途切れたしまった。
「よかったら、話してくれない?」
なんと沈黙を破ったのは女の子だった。
「あ、ああ、まあ、色々あってな・・・」
俺はなぜか彼女に今日考えていたことなどを話していた。
「それでさ、なんで生きているのかな・・・って」
俺はなんか自殺希望者みたいなことを言っていた。
しかし彼女は無表情のまま口だけを開き、俺に言ってきた。
「それは、生きていることを証明したいからだと思う・・・」
「え・・・?」
俺は彼女の一言に思わず声を上げてしまった。しかし、彼女は続ける。
「自分が生きていることの証明・・・笑って、泣いて、楽しんだり、怒ったり・・・そのすべてが
その人が生きていることの証明。だからそうやって自分が生きていることをアピールしている」
彼女が何を言っているのか、その時の俺には分からなかった。
しかし、聞き流す気にはなぜかならなかった。
「そして、その証明が友情、愛、絆になっていく・・・。人はみんな悩みを持っているが
悩みの大きさは違う。最悪だと思う人もいればそうとも思わない人もいる。中には、死にたい・・・
そんな声もよく聞いた・・・。あなたはどう?」
「俺は・・・」
すぐには答えられなかった。
「俺は・・・・・今はとても最悪な気分だ・・・」
罪悪感、悲しみといったことからそんな言葉が漏れていた。
「だいじょうぶ・・・」
彼女は背を向け俺に向けて生涯忘れられないであろう言葉を残した。
「どんな人にも、対等に幸せは来てくれるわ」
そう言って彼女は闇へ消えた。
回想はここで終わりです、あのとき、あの言葉がなかったら今の俺はないと思います。
「ねえ、なんでぼ-っとしてるの?」
そんな俺は今由香里と街を歩いている。
「悪い悪い、ちょっとな」
俺はそう言ってごまかした。
「あ・・・」
不意に由香里が小さく声を上げた。
由香里の視線をたどったところには電気屋のテレビがあり、自殺に関するニュースがやっていた。
「遺書には幸せが来ない、絶望しかないと書かれていた、か・・・」
俺はあの女の子のセリフを思い返していた。
そのとき由香里が口を開き
「どんな人にも、対等に幸せは来るのに・・・」
俺が心の中でリピートしていたのと同じことを言った。
「え?」
俺は驚いて声を上げてしまったが由香里には気付かれていないようだった。
(それにしてもさっき由香里が言ったこと・・・あの時の女の子は・・・)
「甲斐君、はやく・・・」
俺は由香里を見てかぶりを振った。
(まさか・・・な)
「ああ、わかったからまってくれ」
彼女が言った言葉は心の中にいつも残っている。
そして、そのような世界にするために俺も頑張らなきゃな!!
どうも、今回は甲斐の過去について執筆してみました。
突然思いついたことなので煮詰まってはいませんが甲斐の悲しい過去に触れられるように頑張りましたのでよろしくお願いいたします!