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第五章 復讐と停学

結城水たちはひと時の平穏な学校生活を送っていた。

放課後は音楽室へ行き、テキトーに自在箒の柄を振り回して、お茶を飲んだりお菓子を食べて3人で駄弁っていた。

クラスの不良たちの愚痴を言ったり、雑談をしたりと平和で有意義な時間を過ごしていた。

しかし、そんな幸せな時間は即座に終焉を迎える。


ドンドンッと強めのノックをされたとほぼ同時にピシャァンと音を立ててドアが開かれた。

ノックの意味ないじゃん。

ドアの前には生徒会長の木島が立っていた。

「活動実績のない部活は廃部にする」

そう、部活結成から3日しか経っていないのにそう告げられてしまったのだ。


「我が部は大会出場や文化祭での試し割を披露している。お前らの部活は何ができる?」

お茶を飲んでいた3人は意表を突かれてしまい、驚いてフリーズしている。

未経験者3人が自在箒の柄を振り回しているだけの槍部に大会出場などは到底不可能である。

つまり、文化祭で何か披露するしかない。

怯えながら水が「ぶ、文化祭で演武を披露します」と口にした。

木島は「そうか、楽しみにしているぞ」と口にして音楽室を後にした。


「し、死ぬかと思った~」

3人は口々にそういうと安堵から肩を落とした。

「でも、どうしよう?文化祭まであと1か月ちょっとしかないよ」

南が不安そうにそう言った。

しかし、生き残るためには文化祭でそれっぽい演武をするしか選択肢はないのだ。

「まあ、本気で練習するしかないね」

桜彩は苦笑いを浮かべるながらそう答えた。


その日は演武用の稽古をして解散した。

水は一人正門の前を歩いていた。

すると、何者かに足を引っかけられ前のめりに転んで両手を地面に打った。

「、、痛い」

両手からは薄く血がにじんでいる。

少し涙目になりながら立ち上がるとそこには緑のリボンを付けた女子生徒が3人立っていた。


3人はニヤニヤしながら水に声をかける。

「あんた結城ゆいらぎ あかりの妹だろ?」

「えっ、そうですけど?何するんですか、、?」

水は怯えた顔で声を震わせながらそう答える。

「アンタの姉をいじめて不登校にしたのはアタイらだよ」

「きゃはは、アンタも不登校にしてあげようか?」

「アンタの姉はウチらにやられて足の靭帯が切れて一生車いす何だっけ?」

「ウケる~」


3人は覚える水の前で口々に最低な発言繰り返す。

怖い。この人たちが私のお姉ちゃんを、、、。

水は姉の事を思い出していた。

内気な水とは対照的に明るく元気であった明の事を。

西が丘高校に入学する前は姉は元気で明るく友達も非常に多かった。


勉強はできないけれど、誰とでもすぐに仲良くなれる姉の事を水は慕っていた。

水が悩んでいる時には相談に乗ってくれるし、明るく元気に励ましてくれる。

いつだってそうだった。

そう、西が丘高校に入学するまでは、、。


西が丘高校に入学してからは姉は見る見るやつれていった。

次第に口数も減り、家では水と会話する事もなくなってしまった。

そして、ある時から顔や腕などに怪我をして帰宅する事が増えていった。

ついには足を怪我して入院し、車椅子生活になると同時に不登校になってしまった。


この人たちがあの明るくて優しかったお姉ちゃんを、、。

水は怒りと恐怖が頭の中で渦巻いていた。

「おい、何とか言えよ根暗!」そういうと1人が水を突き飛ばした。

水は近くにあった花壇に突っ込んで倒れた。

「ーーーッ!!?」

花壇を囲っていたブロックに背中を強打し、激痛が走る。


手には反射的に掴んだブロックが一つ握られていた。

「ゆる、、さない。絶対許さない」

水はブロックを持ったまま立ち上がる。

「え、おい!ブロック捨てろ!卑怯だぞ」

一人がそう叫ぶ。

しかし、水はその子の頭を思いっきりブロックで殴りつけた。


その子は声にもならない呻き声をあげながら両手で頭を押さえて地面を転げまわる。

その頭からは大量の血がしとどに流れ出ている。

「や、やめろ!」

それを見て2人が怯えて声をかけるが水は無視して2人目にブロックで殴り掛かる。

こめかみに思いっきりヒットして相手は横薙ぎに倒れこむ。

「お姉ちゃんの仇!」

そう叫ぶと3人目の顎を思いっきりブロックで振り抜いた。


振り抜かれた子は白目を剥いてその場に崩れ落ちた。

「はぁはぁはぁ、、、」

3人を倒し終えると水はその場で泣きながら立ち尽くしていた。

制服を返り血に染めて、血が流れ落ちるブロックを片手に頭が真っ白になっていた。


その後の記憶はあまり覚えていない。

3人は救急車で運ばれ、水は1か月の停学処分となってしまった。

そう、文化祭まであと一か月ちょっとしかないのに槍部部長は一か月の停学処分である。

それを教師から聞かされた南と桜彩は言葉を失ってしまった。

「あ、あの、オアシス先輩!私たちどうしたらいいですか、、?」

「え、あの、その、私に聞かれても、、知らない」

2人は部室で何もできずにフリーズしていた。

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