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異世界ペルソナーズラブストーリー  作者: 美飾レイ
第一章
9/32

サマラ編 9

ジョーの背中について歩いた。

ジャングルのような場所。

草木で、道がない。

「毒虫に刺されないように」

って、言われても。


キャッ!!

黄色と黒のマダラ虫が飛んで来た。


洞窟の入口?

ジョーは恐れる様子もなく入っていった。

岩の隙間から日か差し込んでいる。

薄暗い。

気がおかしくなりそう。

あれは!!


大きく開いた口。出口? とても明るい。

走り出した。

「危ない!!」

と、ジョーの声。

遅かった。

出口の下は絶壁。

ブレーキが間に合わない。

わっ!!

足を滑らせた。

私の手を掴むジョーの手。

危機一髪、ジョーに助けられた。


さらに奥へ進む。

「この先だから」

足が震えている。

ゆっくり歩いた。


突き当りは部屋になっていた。

壁から、天井からも日光か差し込む。

テーブルに三角水晶。自然の光を三角水晶が吸収し、七色に屈折させて部屋中に放出している。

「ようこそ」

「カナートだ」

仮面はつけていないが、神秘的な衣装、独特の髪型。

「お待ちしておりました」

霊媒師とか占い師とか言っていたけど、私が訪れることを予知していたのか?

「カナートの前に座って」

ジョーに背中を押された。

「でも……」

「命をとるわけではありません。どうぞ安心して」

カナートの前に座った。

冷たい空気……冷気を感じる。


なんか、水晶に魂を吸い取らせそう。


カナートは、私の運勢を占うかのように三角水晶を覗き込む。


「どう?」

ジョーはなにを知りたがっているのだろう?


「うむ、たぶんこの方でしょう」

この方? どういう?


カナートは立ち上がると、部屋の隅に置いてある棺のような箱を開けた。

不気味……。

私も立ち上がった。


「これを」

それは……。

「奏でてもらえますか?」

カナートが手にしているのはバイオリンだった。

私が? と思ったけど、すでにバイオリンは私の手に渡っている。

不思議、奏でてみたい、そんな欲求が生まれた。

「ひいてみて」

ジョーが力強い視線を送ってきた。


音がしている。

耳元で、バイオリンの音色が遊戯しているよう。

奏でているのは私。

条件反射のように私の手は、バイオリンを操っていた。

仮面の力? わからない。

記憶のどこかに、奏者としての私がいる気がする。


「ジョー、確信したわ」

カナートの言葉に、ジョーは『うん』と言った。


私は無心でバイオリンを奏でる。まるで仮面が脳に信号を送っているような感覚。

記憶が蘇って、消える。 

かつて……私の前世は……バイオリニストだったとでもいうの?



村に戻る途中だった。

謎だらけ。謎が多い。多すぎる。

空はこれほど青いのに、私の中で灰色の雲が流れていく。

「詳しいことは、その内にわかるから」

仮面の男、ジョーはそう言ったけど。どこまで信じていいのか?


分かれ道。

「寄り道していこうか」

「え?」

ジョーは私の手を握った。

「こっちへ」

「ちょっと」


草をかき分けた。

「ちょっと、どこへ連れていくの?」

ジョーの口元は笑っていた。

私はジョーの手を振り払った。

「いい加減にして……誘拐されて、不気味な洞窟、訳が分からない」

「必ず時間が解決してくれる。その前に」

と、ジョーは大きな葉っぱをかき分けた。


光?

わぁ~

これって!!

思わずため息。


青いサンゴ礁。

コバルトブルーの海だった。

「いこう」

「待って」

走るジョーを追いかけた。

白い砂浜に立った。

「この島には、こんな場所がいくつもあるんだ」

ジョーは靴を脱いだ。

私も……。

裸足で歩く。

気持ちいい。

ジョーは足元に波を受けている。

「こっちへ」

海につかるのは……。

近くまで寄った。

ピシャッ

ちょとおおと……。

海水をかけられた。

さらに、ジョーは手で海水をすくうと、私に……。

「やったわねぇ」

私も海に入り、ジョーに海水をかけた。

水のかけあい。子供のように、無邪気な自分がいた。


砂浜に座った。

久しぶりに楽しんだ。

「綺麗な海」

キラキラした太陽の下。

私は手で砂を掴んで、掌にのせた。指先から砂が落ちていく。

「夕日もとても綺麗なんだ」

「見てみたい」

「また案内するよ」

とてもいい雰囲気になった。


突然、ジョーが立ち上がった。

「立って」

「えっ?」

「大統領府の偵察艇だ」

確かに船が見えた。

「村に戻ろう」

そうだ、この人は抵抗勢力の一人、私はレジスタンスと一緒にいたんだ。

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