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異世界ペルソナーズラブストーリー  作者: 美飾レイ
第一章
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サマラ編 4

先に宮殿に戻った。

部屋では花びらを浸した浴槽が用意されていた。

とにかく疲れを癒そう。


「王子が戻られました」

使用人が大勢でフェデルクス王子と兵士を迎えた。


上階から見ていると、メイドのアノアがきた。

「盗賊を追い払い、水源は支配できたようです」

「王子は?」

「少し、腕にお怪我を」

みんな無事でなにより。

アノアは、第三宮殿の情報を教えてくれた。


カレン姫は、マスキート王子と第三宮殿にいた。

たぶん、フェデルクス王子にもしものことがあった時の乗り換えにマスキート王子に近寄っているのだろうと推測した。

フェデルクス王子が無事帰還と知れば、また戻ってくるだろう。


私は階段を上がった。

「王子」

部屋で医師から治療を受けているフェデルクス王子のもとへ。

「心配かけたけど」

「戦いなんて、初めての体験で恐ろしかった」

「水源をめぐって争いも絶えないからね。国と国との戦争もある」

「王子は強いんですね。どこかで戦闘訓練を?」

「僕の強さの秘密を知りたいのなら、ある場所に案内するよ」

「え?!」



王子が用意した馬車に乗った。

私が案内されたのは、第一宮殿だった。

国を動かす国王、王妃の宮殿。

警備兵も多く、面会の有力者の馬車が数多くやってくる。



宮殿の使用人・サスワンの案内で、王子と私は通路を歩いた。

大きな歓声が聞こえた。

なに!!


出口を出ると、そこは円形の闘技場だった。

街からやってきたと思われる見物客が、石段に座っている。

私たちは、上階の特別席にいた。

王子の姿を発見し、市民は立ち上がり礼をした。


王子は一度立ち上がり、手を振った後着席した。


闘技場の選手も王子に一度礼をした後、剣と盾を構えた。

どちらも仮面をつけている。一人は赤色、一人は青色を基調とした仮面だった。

「ここは、勇敢な兵士を育てる闘技場なのです」

サスワンが説明してくれた。

「僕もここで戦闘訓練を受けたんだ」

盗賊との戦いで見せた王子の勇敢な姿の原点を知った。


剣と剣がぶつかり合う。

本格的な戦闘に見えるが、

「武器には殺傷力はない。木に特殊な塗料で加工した剣だ。盾は本物だけど」

心配そうな顔をしていた私の耳元で、王子が言った。


一度距離を離し、赤色の仮面の選手が、剣を向け突進する。

青色の仮面の選手が盾を前に出した時だった、相手は頭を飛び越え背後に。

見物客の歓声が響き渡る。

赤色の仮面の選手が背後から、背中を切りつけた。

殺傷力はないといっても、防護服は破れ、選手は倒れた。

赤色の選手が勝利した。


本物の格闘、結構興奮する。

あれ???

王子の姿が見なくなった。



赤色の選手だけが残る場所に、王子の姿があった。

しかも、剣と盾を持っている。


なんで???


王子が台の上に立つと、会場からはフェデルクス王子の名前を連呼する声で溢れた。

「静粛に」

王子の言葉で静まった。

「あの女性を巡って、僕たちは戦う」

王子が示した女性って……私!!


みんな、私に注目する。


「どうかな?」

「お相手致します」

って、勝手に!!


私は、いけにえ? 戦利品?


カキィィィーーン

すでに戦いは始まっている。


ウォォォーー

歓声が響く。


サスワンも黙って戦いを見守っている。

王子の相手が勝ったら?

私は、まだ言葉を交わしたこのない男性と、結ばれる?

……そんな?


でも本気で戦っている。

互いの気合が伝わってくる。


どちらを応援したら?

いえ、ここで、恋の相手を決めていいの?

まだ私は恋の相手を決める時期ではないのに……。

これが、ルールの一つだとしたら、従わなければいけないの?


熱い戦いに、観客も熱狂する。

王子も兵士もない、身分を超えたぶつかり合い。応援の高まり。


王子が、相手の足を払って倒した。

倒された相手は、剣と盾が手から離れる。顔に剣先を突き付けた。

「まいりました」


決着がはやい。まさが仕組まれた?


会場の歓声は波となった。


戦いを終え、王子が私のもとに戻ってきた。

「お疲れさまでした」

と、サスワンが王子に上着をかけた。


王子が歩み寄って、私の瞳を見つめた。

「君は、僕のものだね」

王子の唇が放つ言葉の粒子。

策略にはまった?


「私は……」

戸惑いを見せた。

「冗談だよ」

いえ、本気の気がする。

心のシーソーが、少し傾いてしまう。

「勇敢な姿を拝見して、私は……」

雰囲気に流され、ここまで言うと、王子が指先で私の唇をふさいだ。

「もう少しお互いを知りたい。そう思わない」

「……」

「そのためには時間が必要だね」

「はい。もっとこの国のことも知りたいと思います」

なぜか、安心感が生まれた。


話題を変えよう。

私も、王子のことをもっと知りたい。


王子は私の心を見抜いたのか、

「父と母に会ってほしい」

突然の提案。

「え?」

「いこう」

王子は歩き出した。

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