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№12 ― 厳重な檻 ―
地下にある拘置所に続く階段をおりながら、「これじゃ『牢獄』なんじゃないの?」とウィルが感想をのべる。
ルイがわらいながら若い警察官たちに、「おれたち地下にある施設に偏見があってね」と補足する。
警察署の地下は暗くも狭くもなく、ただ、ひんやりとしていた。
空調設備のせいじゃないな、とルイは高い天井と壁をながめて考える。
階段をおりきると細かい鉄格子状のドアのようなものがあり、格子のむこうからサリーナの顔を確かめた女がボタンを押してそれをあけた。
差し出されたノートにルイの後ろにいた防犯部の眼鏡の男がサインしている。
ウィルとサリーナは、その先にさらにたちはだかった鉄格子の前に立ち、むこうがわをながめている。
どうやら拘置所は、そのふたつめの鉄格子の奥にあるらしい。
これって、厳重すぎないか?
自分の会社の防犯システムを棚にあげ、ルイは格子のむこうにみえた人影に目をこらした。