そろってお迎え?
「おう、サリーナ、今日も不機嫌そうで、・・・これはこれは、《警備官》のみなさんがそろってノアをお迎えにきたのかい? ほら、やっぱりあんた、むこうでの待遇はVIPなんだろう?」
サリーナの後ろに立つ警備官の男たちを手でしめしながら、廊下のむこうにも届きそうな大声で言うと、顔を突っ込んで楽し気に続けた。
「なあ、ノア、もう防犯部の現役なんてやめたほうがいい。 歳なんだし、からだもきついだろ?あんたといっしょに現場に出るやつは、けっきょくあんたの《おもり》もしなくちゃならないんだ。自分の身は自分で守れる範囲内でやらないと、若い『仲間』に迷惑かけることになるぞ」
たしかに、もう自分ぐらいの年齢になれば、どんな階級だろうとも、ふつうは現場には行かない。
頭は白髪のほうが勝つようになったし、好物のドーナツで腹回りはひどいもんだ。
それでも、若いころから積み重ねてきている筋力はまだ鍛えてはいるし、射撃のほうも、まだそんな、ひどいもんじゃないはずだ。
「ノアに『迷惑』かけられたことなんかないよ」
サリーナが男の足をわざと踏んで横をすぎる。
「っがあ」とおかしな声をあげ足をかかげた男に、「ああ、ごめん」とまったく誠意のない謝罪をした女のあとに続く男たちは、笑いをこらえながら部屋にはいった。