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『貸し出し』決定
「殺人課?」
ニコルがマフィンを入れようとした口で、おもわず確認した。
大きな目を仲間の男たちに順にむけてから、「 担当者の名前をきいたか?」と、ようやく菓子を口にいれる。
「電話をくれたのは、フォーネルとかいう若そうな男で、なんか興奮してて、またかけるってさけんで切ったよ。 車の持ち主が《失踪》したまま、手掛かりがなくて困ってたとか言って」
「失踪?おいおい・・・」
あきれたように口の中のものを咀嚼するニコルのかわりに、ベリーのマフィンをたいらげたルイが指先をなめながら、「車の持ち主のなまえ、覚えてるか?」ときく。
「ターナーっていう、バイクレンタルをしてた男らしいよ」
「あ~・・こりゃ、『貸し出し』決定だ」
ルイのひとことで、ケン以外の男たちがいっせいに立ち上がった。