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いつもの作業
「マーク、気をつかわせて悪いな」
「いまのところ、ポールとの情報のすりあわせはぼくだけで済んでるけど、この先、こちらでなにかあった場合、クラークがいったように、彼は代表者としてこちらに来ることになる。 その場合、この前みたいな仏頂面で、会議にでないでほしいんだ。 まっさきにクラークに笑いものにされるから」
「気をつける」
めずらしく強い口調でマークに注意され、顔を赤くして髪をかきまわす。
それをみて、口をおさえて笑いをこらえたザックをにらみながら、副班長は立ち上がった。
「ザックはおれとジュディの勤めてた会社にいく。 あとは、―― みんないつもどおりの作業だ」
それだけの指示で強硬班はたちあがり部屋を出て行った。
見送っていたヒースがあきれたように、年々ジャンがバートに似てくるな、と感想をもらす。
「本人に言ったらきっと喜ぶよ。 さあ、うちはいつも通り、穴がないように打ち合わせしよう。今回のテーマは《コナー氏をどのように守るか》、につきるな」
強硬班とちがい、事がおこらない対策を徹底する《警邏班》のミーティングがはじまった。