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№09 ― コナーさん ―
ジュディがよくつかっていたというカフェに、マークとむかったウィルは、正直こんな場所で簡単に、《コナー氏》が見つかるとは思っていなかった。
州境からすぐの場所にある小さな街だが、近頃は東側からながれる人が多くなり、店やオフィスビルが、次々に並ぶようになった。
カフェもさまざまなものが増えたが、その店はコーヒーだけが売りのようで、店内より外に置いたテーブルのほうが多いような、小さな店だった。
まあ、天気がいい日はいいけどね、とウィルがいいかけたとき、マークが立ち止まって、ひとつのテーブルをみつめているのに気づいた。
何冊もの本をテーブルにつみあげ、ものすごい速さでページをめくる年寄りが座っている。
ふたりでうなずきあい、声をかけに近づいた。
「コナーさんですか?」
「うん、そういう名前だよ。 まあきみたち、まずはコーヒーでも頼んで、腰掛けなさい」
この返事に警備官たちは、今度は安堵したようにうなずきあった。
どうやら《コナーさん》は、カフェで読書していられるほど、無事らしい。