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似てるとこ
「ここに来る前に言われただろう?湿地の水たまりには五メートルくらいの穴もあるから気をつけろって」
ニコルが手をかしてくれ、ザックはむせながら立ち上がる。
「・・・油断してた。ポールがジャンとどんくらい似てるのかな、って気になっちゃって」
これに、ポールが声をあげてわらい、ニコルはザックの胸をかるく小突いた。
「正直だな。それで?あいつと似てるとこ、あったか?」
「見た目より、中身が似てるってかんじ」
ニコルが困ったような顔をしてザックの濡れた頭をつつく。
「ザック、仕事中だぞ。それこそジャンがここにいたら、なんていうと思う?」
ザックがこたえるより先に、ポールがこたえた。
「一度着替えにもどって、コーヒーで暖をとって仕切りなおそう」
いたわるようなその言い方に、はじめてジャンにあったときの印象をザックは思い出していた。
女にモテそう。