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穴に落ちる
能力を自慢しないところが、ジャンと同じだな。
うちの兄弟だったら?まあ、おれが調子にのってるのを兄貴がばかにする、っていう感じだから、まったく違うもんなあ。
ケンカはしょっちゅうしたけど、仲が悪いってわけでもなくて、・・・あれ?兄弟って、性格似てるほうが仲良くなるんじゃねえのかな。
二人のほうをながめながらそんなことを考えていたとき、跳ね上がるような勢いでポールがこちらへかけだした。
と。
一瞬で足の下の感触が消え、下に吸い込まれた。
「 っっご 」
「つかまれ!手をこっちに!」
「ッザック!」
予想外な水の冷たさよりも、口に入ったその味がまずい、と驚き、手首をつかむ力が痛いと思ったときには、引き上げられていた。
水をはきだすようむせていると、だいじょうぶか?と背をなでられた。
だいじょうぶだ、という代わりに片手をあげる。