6/251
たまには二人で
「はあ?コウモリが人に化けるう? なにそれ。上流のパーティーで流行ってんの?」
かなり馬鹿にした声でききかえしたザックに、たしかにそこで知り合った女性にきいたけど、と邪魔な前髪をはらった男は、「『上流』とかじゃなくて、いろんな方面で流行ってるみたいでさ」と、肩をすくめ、紙カップをもちあげた。
ガーバディ警備会社の休憩所兼、食堂のテーブルでくつろいでいたのは、A班のうち、ウィルとザックだけだった。
今日は内勤だけなので、みんなたまった書類仕事を黙々とこなし、予定がある者は早々に帰っていった結果、残ったのがこの二人だったのだ。
いままで二人だけでちゃんと話したことがないな、と思いながらビルのコーヒーでも飲んでいくか、とウィルが誘うと、少し驚いた顔をみせたザックは、ひどく嬉しそうに「おごりで?」と確認した。
「・・・ぼく、そんなケチだった?」
驚かれるほど?
「いや、なんていうか、ウィルに直でさそわれることなんて、なかったからさ」
新人のこのこたえに、すこしばかりの反省。