52/251
兄貴は『殺人課』
わかるか?というように首をかたむけるのに、ジャンはだまってうなずいた。
「 よし。それじゃあ、南の州境近くで、ジュディ・レビンに『本を貸した』《コナーさん》をいそいでさがしてくれ。 先週の火曜からもう一週間たっているが、いままでの間隔を考えれば、まだ間に合う可能性がある」
「つまり、こりゃ、ただの失踪事件じゃねえってことだな?」
椅子から立ち上がったケンの質問にこたえないクラークは、ジャンにうなずいてみせた。
かきまわすように頭をかいた男はしかたなさそうに立ち上がり、ケンとみんなをみた。
「・・・おれの兄貴のポールは、コート州の『殺人課』の刑事だよ」
ジャンの肩をほめるようにたたいたクラークは、最後にマークをよんで言葉を交わしてから帰っていった。
それをじっとみていたザックは振り返ったマークと目があった。
一瞬、気まずそうな顔になり、こちらの表情に気づいたのか、いつもの穏やかな笑顔をうかべたマークが、部屋にいるみんなに命じた。
「 すぐに班分けにかかる。一刻も早くコナーさんをみつけよう」
部屋にいる全員が立ち上がった。