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※※ ― 鬼にみつかる ―
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はっ、はっ、と吐く息が自分の耳にひびいている。
左右にたかく生える枯れた草をかきわけるようにすすめば、水気をなくしたそれらがガサガサと抗議するように音をたてる。
音をたてるな、と言いたかった。
前はみえない。
たよりないこの細い道がどこに出るかもわからない。
ガサガサガサ
右奥の方から、枯れ草がさわぎだす。
くるな くるな
両手をにぎりあわせ、ゆれる枯れ草の中、せまりくる《モノ》に願った。
「 っばあっ 」
「っ!?」
左側の枯れ草の中から、喜びにみちた表情をうかべた
―― 《鬼》がとびだした。
※ ※ ※