№07 ― 最後の不明者 ジュディ ―
先ほどの《童謡》の資料と同じようにまわされてゆくのをながめるクラークが、おおきく息をついた。
「『端末』でメッセージを送った先がもっと早く特定できればなあ」
個人で持つ端末器械は、家におくPCのように国が管理をしていなので、番号で持ち主を特定できない。
端末器機の《メッセージ》が絡んだこういった事件がおこるたびに、犯罪者や加害者の特定できないということがおこる。
警察機構から何度か端末器機の個人登録について国へ提言をしているのだが、いまのところ本気でとりあってもらえたことはない。
自分が生きているうちにこの問題ぐらいは片付けてほしいとクラークは願っている。
「 ・・・ともかく、―― 特定できてる最後の行方不明者、ジュディ・レビンは、先週の金曜日に休暇明けで出てくるはずだった職場に来なかったため、その日の夜に同僚が家を訪問。 他と同じように鍵はかかっておらず、なにもかも途中でほうりっぱなしだったと、 ―― ジュディの家にいた男が証言している」
「『いた男』って? 恋人が家にずっといたってこと?」
ウィルが首をかたむけた。
 




