46/251
最近知った
バイクレンタルでトラブルは?という警邏からの質問に、なかった、という返事をする。
「こりゃ、たしかに・・・『気持ち悪い』な」
おもわずジャンがつぶやいたのに、「おまえの兄貴も同意見だ」とわらったクラークの言葉に、数人の警邏班員が顔をあげる。
きまずそうなジャンは、髪をかきまわしている。
同じA班であるザックでも、ジャンの兄が隣の州で警察官をしていると知ったのはつい最近のことだ。
ジャンから南のほうの出身だとはきいていたので、コート州からやってきたのだとは思っていたが、兄貴がその南の州で警察官をやっているなんて、酒の席でもきいたことがない。
付き合いの長いほかの班員は知っていたようだが、それだって本人の口からきいたわけではなく、班長がもらした言葉で知ったのだという。
ニコルいわく、『まあ、いろいろあるんだろうさ』
ウィルによれば、『うちとはちがうかたちの兄弟仲の悪さかな』ということだ。
その兄貴から直接ジャンに連絡があり、今回この事件の《行方不明者の捜索》を、警備官が特別に受けることになったのだときいた。