送られる
「 つまり、《メッセージ》をもらったファーマー夫人からすれば、保険屋からいきなり二年ぶりくらいで、おかしな《メッセージ》が送られてきて、 ふつうに戸惑った。 ってこと?」
「そうなるな。 ところが、ボーマーから送られたこのおかしな《メッセージ》を、クレア・ファーマーは一週間半後に、そのままの引用で、別の人間に送ってる」
端末画面の矢印をゆびでおったザックが、ほんとだ、といやそうな顔をする。
「・・・じゃあ、もしかして、この日にファーマー夫人もいなくなったとか?」
携帯もおいて?となぜかニコルに確認するような目をおくる。
「そうだろうなあ。ほら、《メッセージ》のこの日付、 彼女が失踪した日にちだ」
うなずくニコルも嫌そうな顔だ。
「 おまえらが《メッセージ》をもらったんじゃないんだから、そんな顔することないだろ。―― ファーマー夫人が《メッセージ》を送った先は、一年以上前に頼んだ水道の修理屋だ。 三十代前半のピーター・ハットンが、そのメッセージをみんなにみせて『ばあさんから《お誘い》をもらっちまった』なんて大笑いしてたのを仲間が覚えてた。 ―― この画像をみればわかるが、メッセージには返信していない。だけど、もらって二週間ちょっとあとに、彼は行方不明。 いなくなる前に、《お誘い》だってわらってた《メッセージ》を、レンタルバイク屋のデイヴ・ターナーに送ってる。ちなみに、 ―― このふたりの、接点をききたいか?」
だれも返事をしないのにうなずくと、「 二年以上前に、ハットンはターナーのところでバイクを借りてる。そのころまだターナーはレンタル屋をはじめたばっかりで、個人の端末で客とやりとりしていた」