№05 ― 11枚の画像 ―
「これってあんたのいう『タネあかし』じゃないだろう?」
ルイの質問のこたえになってないんだけど、とウィルがいらだったように長い前髪をはらう。
「 ああ、『つながり』がみつかったのは、こっちのほうだ」
とくに大事な発見でもなさそうに、机におきっぱなしだった端末機をてもとに引き寄せ、画面をにらんだあと、おまえらに転送するにはどうやるんだっけ?とジャンをみた。
助けを求められた男はたちあがり、個人端末ではない仕事用のそれを借り受けると、画像を警備官たちにおくった。
「ん?これ、《メッセージ》?・・だよな」
ザックがまっさきに確認する。
「そうだ。個人用のメッセージのやりとり画面だ。おまえらだってつかってるだろ?おれだって家族とつかう」
クラークには離婚した妻との間に、娘がふたりいる。
「全部が、行方不明になった人物たちの《メッセージ》画面だ」
端末には、それを写した11枚の写真があらわれた。
「『全部が』って、これっておなじ写真じゃん」
11枚もいらねえよ、とザックがいつもの口調で、端末の画面を指ではじく。
「よし。期待してた《新人らしい意見》がようやくでてきたな。 なあぼうや、おれのはなしをちゃんときいてたか? ここにだした11枚『全部が』、行方不明になった11人の端末から、それぞれ抜き出した《別》の画像だ」
クラークの言葉に、警備官全員が端末にうつるそれらを再度確認した。