治安部署のベイン
申し訳ありません。ベインと治安部署については、『白いカラス』を流し読みしてみてください。
「治安部署のベインを知ってるだろう?」
「ベインか ――」くそっ、とつけたしたいのをどうにかこらえる。
警察官の組織の中での《治安維持部署》は、刑事部署とはちがい、州など関係なく動くし、働く部署だ。
あの男はこの国中の警察官と知り合いだといえる。
「なんだか、バーノルド事件で、おまえたち警備官も出たんだろう?」
「行方不明者の捜索だよ」
事件を終わらせたなどとはけっして言えない。
むかいでカップをテーブルにおく男が、眉をあげるようにうなずいた。
『警備官』なんだからそれぐらいの『仕事』が当然だろうというように。
「 ベインが、おまえの班のチーフをなんだかえらくほめてたけど、どんなやつだ? まあ、とにかく、うちの州でおかしな行方不明者がではじめたんで、治安部署に相談したんだ」
「まてよ。なんでいきなり治安部なんだ?」
宗教がらみ、または、―― 通常の犯罪とは異なる思想や状況が認められないと、治安部はでてこない。
「はじめは気づかなかったんだが、行方不明者たちがつながってるのがわかったんだ」
「まさか、そいつら、・・・なんかおかしな考えの・・・『光の子』とか『遣い人』とかでわめいてる連中とか、からんでないだろうな?」
つい数か月前に身近で起こった事件を思い出し、聞かずにはいられなかった。
「『ひかりのこ』?そりゃなんだ?」
きいたこともない、というその口ぶりに、なんでもない、と手を振ってすこし安心する。