またダイナーで
ここからは、《湿地》をめぐる兄弟のはなしとなります。
ようやく、ほぼ終わりです。。。
ダイナーのせまい座席にむかいあって座るのはあのとき以来だが、ずいぶんと時間がながれたように感じた。
「 亡くなった人たちの遺品は、もうそっちに届いたのか?」
「ああ、クラークが、すみやかに手配してくれたからな」
むかいあったポールはめずらしくこちらを見ずに、カップの中に目を落としている。
今日、ここによびだしたのはジャンの方だった。
突然の電話でのよびだしに、とまどった声をだしたわりには、店に先にいたのは、やはりポールのほうで、いつもと違ったのは、すましてコーヒーをのむかわりに、煙草の煙をカップにふきかけていたぐらいだが、こちらを認めると、緊張したように煙草を灰皿におしつけた。
「吸ってていいよ」
「おまえ、吸わないだろ?」
「誰かさんに、絶対に吸うなってこどものころから言われ続けたからな」
「・・・・・・」
いいわけをしそうなのに手をあげてみせ、《湿地》での謎の《連続失踪事件》の後処理について少し質問をつづけた。




