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きっかけは


 ものすごいトラブルがあったわけではなく、こちらが聞けば正直にこたえる相手の姿勢に最後は苦笑してしまうような終わり方だったせいだろう。

 たしかに、バカではあったが、悪人といえるほどの男ではなかった。



「なに?そんな男がまたきみに会いたいって?」


「ううん。でも、なんか、こっちに来るつもりなのかしら?」




『 よーい どん 』?




「なんだって? じゃあ、ぼくらはそろってこの週末、別荘にでも逃げようか?」


「べっそう?」


「いや、そんなたいしたとこじゃないんだ。 ここのマーノック湖にあるような立派なのじゃないんだけど、 ぼくの祖父が買った別荘が、ドラン州にあって」


「ええ!すごいじゃない」


「だから・・・きみさえよければ、一週間ほど、そこへとじこもることもできる。 でも、―― その、ぼくたちの関係ではまだ早いって思うなら、また今度でいいんだ」

 つきあいはじめて、まだ一か月ちょっとだし、と、本をとじたあいてがこちらへのばした手を、ジュディはとる。


「ダーリン、あなたってほんと、まじめだわ」


 それは、はじめて会ったときから感じていた。



 カフェで本を読むこちらを何度もちらちらとみているのに、声をかけてこないのにしびれをきらしてこちらから声をかけた。


 驚いた相手が顔を真っ赤にして『あなたの読んでる本が気になって』と《いいわけ》をするのに鼻をならして本の題をつげると、聞いた相手は納得したように礼を口にして席を立った。



 ここでおいかけたら、こっちがばかみたいじゃない。



 ほんとうに本が気になっただけだったらしい相手に腹をたてながらあとを追っていた。

 


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