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鬼は覚えてる
「 だから、さっきも言ったろ? 『波長』だよ。そのときの 波長 で合いそうな相手を、いままでメッセージを送ったことのある中からさがすんだ」
ボーマーもそのときたまたま合ってただけだ、と《モス》が言う。
「それだけで狙われるってことか?」
嫌そうなウィルに、ルイがおもいついたように、ボーマーははじめから『合う素質』があったんだろ、とこたえる。
「 映像でモスが言っただろ? 《湿地》のことを『伝え』られていたのは、保険会社に勤める友達、ボーマーのことだ。 つまり、彼の身内は《背中鬼》に、実際追いかけられたことがあったってわけだ。 ―― そういうのって、『鬼』のほうはよく覚えてるみたいだからさ」
立てた指をウィルにむけた。
「 そういや、《バーノルド》のとき、ウィルは知らないのに子鬼のほうは、ウィルのこと知ってたもんな」
ザックが思い出したように指をならすのを、小鬼に嫌われている貴族様は手ではらう。




