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確認
『本物のポール』との対面の場所を、警備会社の会議室で、と指定したのはクラークだった。
警察署内にはまだ《コウモリ》がいて、また《警備官ご一行さま》が来ると、まわりが騒がしくなるからだ、と警備官に説明した男は、ポールを連れてここの軽食スタンドへ寄ってから来たので、いつもより機嫌がいい。
「よし、自己紹介は終わったな? それじゃ、はじめろ。 おれが、ポールといっしょにここにいるのは、生ジュースを飲みに来たからじゃねえぞ。 おまえらが、ポールを疑うような物証を見つけたって言うから来たんだ」
「これはただの確認です」
マークがクラークをまっすぐにみて、はっきりとした言葉で訂正をいれる。
「なら、確認しろ。ちなみにこの確認作業は非公式だ。 ―― ここで、こいつらが出してきた証拠品が、事件に関係あるようなら、ポール、おまえはこのあとおれと、警察署に移動して、正式な『確認作業』をうけることになる」
名指しされ、みなの視線をあつめた男は微笑んだままうなずく。