№24 ― 警備官とポール ―
椅子をまたがるようにして、背もたれに両手をおき、クラークは、そこにいる若い男たちを見守った。
いまからはじまる試合は、こうやってはたから眺めている方がおもしろい。
合図のように一人の男がふみだした。
「はじめまして。マーク・リーです」
「よろしく。ポールだ。 きみは、ジャンたちとは違う部隊かい?」
やわらかい笑顔をうかべて握手するふたりを、うす笑いをうかべたケンがむこうで見比べ、いつものように自分の見解を投げ入れた。
「『何でも屋』だ。 警邏は、腕も頭もいいやつらしか入れない」
「きみは、ケンだろ?」
ポールに指さされた男は、にやりとして「誰にきいた?」と、ききかえす。
「『いつもジャンからきいてる』 って言いたいところだが、きみたちのはなしは一度も聞いたことないよ。 名前は、クラークからひと通り教わってる」
わかってるだろ?というように、微笑んで両手をひらいてみせた。
笑わずにうなずいたケンが、「こっちがルイで、あそこのがウィルだ」と言うと、隣に立つ男と、壁に寄りかかっている男が手をあげる。
A班の男たちは、よけいな接触はしないことにしたらしいな、と背もたれに置いた手に顔をのせ、クラークは部屋の壁際に陣取った男たちの顔を確認した。
自分たちの縄張りにいるというのに、ケンいがいは、なんともいえない表情を浮かべている。




