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ひと安心
この言葉にザックがようやく身をおこす。
「なんだよそれ。 やっぱ当たってダメって、思ってるんだろ」
ふてくされたように紙カップをつかみ、いっきにあおった。
「思ってないって。きっとうまくいくって。 ―― ただそうすると、同じ班内だから、」
っげっほ
いきなりむせたザックが、口元をぬぐい、こちらをにらみあげた。
「何いってんの? 同じ班なんかじゃねえって」
「え?ケンじゃないの?」
「っはあ?なんで?ケンはいい友達だって」
「なーんだ」
ひと安心したウィルは立ち上がり、中央にある小さな店にペーパーをもらいにゆく。
持ち帰ったそれをザックにわたし、自分用に買った二杯目のコーヒーに口をつけてから、足を組んでうながした。
「 わるかったよ。てっきりケンかと思ってさ。 それじゃあ、どこの部署? なんなら、ぼくがすこし手伝ってもいいよ」
「ほんと?」
提案にザックは顔をかがやかせた。
どうやらほんとうに、『どうしたらいいのかわからない』状況での相談のようだ。




