№22 ― 木がはえてる ―
仕事開始
目指した場所は《湿地》からはだいぶ離れた場所にあったが、『湿地の教会』とよばれている。
その建物は、道からすぐにわかるほどの大きさだった。
『大きさ』といっても立派でという意味ではなく、つぎたしていった結果の建造物としての不格好さと、その不格好な建物に、ところどころ茂った木々の緑のせいだが。
「・・・すげえ。建物から木が生えてる。・・・けど、これってほんと《聖堂教》の教会?」
ザックがジョーの顔をみる。
ジョーはただわらってみせた。
正面の扉は四角く小さくて納屋のようだ。
石造りだが窓はみあたらず屋根は平たい。
四角い部屋をいくつもくっつけあった結果のようなかたちで、その四角は左側では二階までつみあがり、右側は三階まで積まれている。
その四角い部屋たちのつぎめから、遠くからでもはっきりとわかる大きさの木が生えている。
建物の背はすぐ丘になっており、建物に生えたのとおなじような木がまばらに生えていた。
正面の扉をたたいてひらこうとしたウィルが、首をふる。
「むりだ。ほかの入口は?」
「右手の横に台所の入口がある」
ジョーについてまわってみると、正面の扉よりさらに小さなものがついている場所が二か所あり、かがみこむような姿勢で、先頭の大男が入り込む。