仲間たち
ジョーも、つられてわらってしまった。
「その、ノーマンとかいう相手は運がわるい。ウィルのほかのやつらもみんな、殴る用意をしてるような男ばっかりだ」
この指摘に『黙ってろ』とばかりに、ウィルがにらみながら手をふりはらう。
「まだみんなには言ってないよ。―― ザックが告白して、結果がでたら、おれたちに伝えてくれればいいよ。 そしたら、殴るかどうか、みんなで相談するから」
冗談にきこえないそれに、ジョーは横を盗み見た。
父親に似た広い額をかくすように前髪をのばしている《ぼっちゃま》は、これまた父親によく似たまなざしで、まっすぐ前を見ていた。
「なんだよー。それっておれが振られるの決定してるじゃん」
後ろの席からの不満げな声は、それでもウィルと仲直りできたことには満足しているようだった。
「ふん。思ってたよりずっといい」 仕事仲間との関係が。
おもわずでてしまったジョーの感想に、なにが?とうしろのザックがきいてくる。
にやけた顔で運転する男が、なにを考えたのか察したウィルか、先まわりした。
「道がすいてて早く着きそうだってことだよ。 そうだろ?ジョー?」
「おっしゃるとおりで。ウィルぼっちゃま」
有無をいわせないときの顔つきが、父親にそっくりになってきたのをからかいたくなり、ひさしぶりにトムのまねで返事をしてやると、後ろの席の若者が手をうって笑い、《ぼっちゃま》はこちらをにらんでから窓の外に顔をむけた。




