ポールとジャンの写真
向かい側にある、さきにのぞいた殺風景な部屋にゆく。
こちらはどうやら、ふだんポールがつかっている部屋のようで、ベッドには革のジャケットが放り置かれ、机の上にはPCが置かれていた。
みてもいいという許可はとってあるが、二人ともそれには触れずに、引き出しをひらく。
「 去年の感謝祭のカードだ。ジャンからのもあるな。 下の段に犬用のおもちゃがある」
必要なものだけを整理していれてあり、無駄なものはない。
「ジャンの机と同じってことか」
おもしろくねえな、とケンがクローゼットに移動する。
中にはジャケットが数着かけられている。
下の隅には、むこうの部屋でファイルがつめこまれていたような箱が重なっていた。
ひらいてすぐに、ルイの笑い声がもれた。
つまみだした写真を渡されたケンは「箱いっぱいか?」と捜査用に持ってきていたカメラでそれを撮る。
ポールとジャンの子どものころの写真だった。
箱の中いっぱいに色褪せたそれが、一見無造作に、だが、順序よく放り込まれている。
うまれたばかりの赤ん坊を、うれしそうに抱くポールはすでに十歳くらいだろう。
赤ん坊は徐々に大きくなり、歩いて三輪車にのり、子供用の自転車にのる大きさのころには、すっかり《いまのジャン》ができあがっていた。
「どうやらこのころは《兄弟げんか》はなかったらしいな」
どの写真も仲良くならび、笑っている。




