閑話休題
「―― なんだか投げやりだなぁ。どうした?」
この質問にため息をついたケンが、いきなりそこに寝転がった。
「イラつく」
「あー、・・・なるほどな。―― おまえ、バートとレイがいなくて、つまんないのかぁ。たしかに、マイクなんか、レイといっしょに行ってるもんなあ」
いま、我らが班長のバートは研修という名の出張中で、レイは、本人たっての希望で、警察官のマイクといっしょに休暇旅行中だ。
さすがにケンも、子どもではないのでマイクとの旅行のはなしをきいても不満は顔に出しただけで口にせず、大好きなレイを送り出したのだが、いいかげんさびしいのだろう。
天井をにらみながらやる気のない声をだす。
「 あいつらが旅行してんのはべつにいーんだけど、残ったこっちで、ウィルがザックとケンカして、ニコルがそれでそわそわしてて、おまけにジャンが、いままでみたこともないくらい不安定で弱気で悩んだ顔してる。・・・なんか落ち着かねえし、どうしたらいいのかわかんねえし、ザックもなんだか静かで、誘ってものってこねえし・・・なんだか居場所が不安定になってて、・・・イラつく」
ごろりと、こちらをみあげると「なにわらってんだよ」と立ち上がった。




